不動産鑑定士は役所で対象地とその周辺についてしっかりと調査を行っています。
【 底地の鑑定評価:行政的条件についてのまとめ 】
墨田の土地にかかる規制の内容が、表にまとめられていました。
「準工業地域」に所在する私たちの土地は、「建ぺい率は80%、容積率は200%」であり、その他「準防火地域、第3種高度地区、日影規制4h-2.5h,4m、新たな防火規制区域、特別工業地区」の規制があるそうです。
土地に埋蔵文化財が埋まっていないか、土壌汚染の可能性はないか、といった項目もあり、いずれも該当の可能性は低いとのことで安心しました。
<次回に続く>
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賃貸マーケットについてもプロの眼から見た説明がなされます。
【 底地の鑑定評価:市場分析② 】
不動産売買マーケットの説明に加えて、不動産賃貸マーケットについても鑑定士の見解が示されました。
「当地域は、最寄駅から300mほど(徒歩3~4分程度)の距離に位置する住工混在地域である。対象土地が接面する区道を南に約50m下ると商店街があり、また北方徒歩5分ほどには物販・飲食店舗が入居するショッピングモールが立地し、交通利便および生活利便ともに良好な地域である。
土地賃貸借に係る賃貸市場の状況としては、先述のとおり、当地域及びその周辺において熟成した借地権取引が比較的多く見られることからもわかるように、長期に亘り契約期間の経過した旧借地法に基づく借地が大方を占めているが、事業用等の借地にあっては、定期借地契約も徐々にではあるが見られるようになった。
当地域に多い昭和時代に創設された借地については、特段の問題がなければ契約更新が可能であることから、今後も土地賃貸市場については大きな市況の変化はないものと予測される。
当地の継続契約に係る地代水準について地域調査を行った結果、その契約内容等の如何により様々ではあるが、建物所有目的の借地契約(但し、契約更新可能な普通借地の場合)にあっては、坪当り1,000円/月前後のものが多く見受けられる。
当地域において今後も、地代水準に大きな変動はなく推移していくものと予測される。」
<次回に続く>
多面的な調査を基に、マーケットを分析します↓
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墨田の土地の関係する売買マーケットはどのような状況でしょうか?
【 底地の鑑定評価:市場分析① 】
ここまでで、墨田の土地評価の基礎的項目について、整理・確認が済んだようです。
不動産鑑定士は、鑑定評価額計算の前提となる、市場分析の話に移りました。
昨今の社会経済情勢といった一般的な話に始まり、東京都そして墨田区という地域の状況の説明がありました。
特に地価動向については、FRAコンサルティングの代表鑑定士は東京東部の公的な地価評価で取りまとめ役に就いているそうで、最新の情報が聞けました。
私たちの土地が関係する不動産売買マーケットは、以下のような特徴があるそうです。
「当地域については、借地権による土地利用も比較的多く見られ、借地権取引の熟成した地域ということができる。
対象土地前面の相続税路線価による借地権割合は60%であるが、実際の借地権売買にあっては、借地契約条件や建物の堅固・非堅固の別、残存期間や契約の個別性等により幅が生じるものの、借地権割合として50~60%程度で取引されているようである。
また、対象不動産のように借地権と表裏の関係にある底地について、借地人がこれを買取る場合は<1-借地権割合>で、ある程度の売買価格が把握できるとしても、第三者に売却する場合は相当に市場性が減退し、低廉になるものと考えられる。
売買市場における市場参加者について土地(完全所有権)需要者は、主に地元の事業者や不動産業者または個人の実需者等と比較的幅広い層を捉えているが、底地の購入者にあっては、借地人の買取りを除けば、地元の不動産業者や転売専門業者となる。」
<次回に続く>
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墨田の土地について、様々な確認が行われていました。
【 底地の鑑定評価:借地権についてのまとめ 】
■Ⅳ.評価対象不動産の確認■ としても、色々な項目が上がっていました。
確認が、実地調査、資料調査、依頼者聴取(書面・口頭)のどの方法でなされたのかが明らかにされたあと、物理的な確認と、権利についての確認の内容が記載されています。
権利に関しては、私と妹が土地の所有者であるという記述に続いて、所有権以外の権利、つまり借地権について、以下のようにまとめられていました。
「対象土地に建物所有を目的とした土地賃借権が確認される。
したがって、対象土地は借地借家法(旧借地法)により保護される土地賃借権が付着した底地となり、借地権の存在が認められる。
土地賃貸借契約の概要は以下のとおりである。
●契約の形式: 書面(土地賃貸借契約書)による
●契約始期: 詳細は不明だが、昭和時代からの由
●現行契約期間: 平成23年1月1日~平成42年12月31日 20年間
●現行地代の額: 月額106,000円(坪1,000円)
●一時金の授受: 権利金等の授受は不明
●借地面積: 106坪
◆原契約の始期は、状況から判断し昭和時代からのものと見受けられ、当該借地権は旧借地法に基づく土地賃借権と認められる。
◆本件土地評価において採用する登記簿数量(350㎡)と、契約上の借地面積数量(160坪)が概ね一致することを確認した。
◆当権利の存する範囲については、既存建物の敷地に対する配置の状況、また、使用建ぺい率や容積充足率等を勘案し、画地の全てに及ぶと判断される。なお、借地面積に関しても登記簿記載の画地面積が実態に合致しているものと判断し、借地数量に相当することも確認した。
◆本件借地権は賃貸借契約に基づく土地賃借権である。よって、土地について直接的な賃借権登記はないものの借地人の所有する建物の保存登記がなされていることから、第三者対抗力を備え、法的保護を受ける普通借地権と認められる。」
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鑑定評価の基本的事項についての説明が続きます。
【 底地の鑑定評価:鑑定評価の依頼目的 】
■Ⅲ.鑑定評価の基本的事項■の項目の一つとして、鑑定評価の依頼目的 が書かれていました。
「依頼者であるE様とご親族との間において、時価相当額による不動産の交換取引を行う。この取引に際し、不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価により適正な時価相当額を把握する必要があることから、不動産の鑑定評価を依頼することになった由。
なお、評価対象土地は共有不動産であるため、求められた底地価格について共有持分に応じて按分した価格をもって本件鑑定評価額とする。」
なるほど。確かに、その通りです。
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ご依頼の目的をしっかりと伺います↓
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不動産鑑定士の説明が、始まりました。
【 底地の鑑定評価:底地とは? 】
私と妹は、不動産鑑定評価書の最初のページを開きました。
まず、■Ⅰ.鑑定評価額■として、全体20,000,000円、私と妹それぞれの持分が10,000,000円、と記されています。
そして、■Ⅱ.評価対象不動産の表示■
墨田の土地について、不動産登記簿謄本に基づく所在、地番、地目、数量が、示されています。
続いて、■Ⅲ.鑑定評価の基本的事項■では、
不動産の権利の種類・・・所有権
不動産の種別・類型・・・住宅地・底地 とあります。
ここで、鑑定士から、「底地とは、先日も申し上げたとおり、借地権が設定されている土地の所有権を言います」との補足がありました。
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不動産鑑定士が完成した鑑定評価書を携え、Eさんを訪問します。
【 鑑定評価書完成:納品と説明 】
鑑定評価書の納品と説明に、妹の家にFRAコンサルティングの鑑定士が到着しました。
3物件分、3冊の不動産鑑定評価書は製本されていて、ずっしりと重みがあります。
付属資料として添えられた写真を眺めるていると、それぞれの土地を購入したときの喜ぶ両親の顔が脳裏に浮かびました。
傍らの妹も、心なしかしんみりした様子です。
そんな私たちを追憶の世界から呼び戻すように、不動産鑑定士の力強い声が居間に響きました。
「それでは、墨田の貸地の評価について、ご説明させて頂きます」
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鑑定評価が終わり、E家の不動産共有解消の全体像が明らかになります。
【 鑑定評価終了:評価額および等価交換全体像 】
鑑定依頼から3週間が過ぎた頃、FRAコンサルティングから評価終了の連絡がありました。
そして、3物件の鑑定評価書ドラフトと、評価額と等価交換の全体像を一枚にまとめた資料が届けられました
なるほど、確かに等価に近い・・・
私は早速ドラフトにも目を通しました。
江東区の実家の土地と、世田谷区の駐車場については、概ね内容を理解できましたが、墨田区の貸地については、底地というものに馴染みがないため少し難しく感じました。
鑑定評価書の納品に来てもらうときには、底地を中心に、不動産鑑定士に説明してもらおうと思います。
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Eさんはついに…不動産の共有解消を決めました。
【 Eさんの決断 】
FRAコンサルティングでの無料相談から10日。
私と妹は、FRAに鑑定評価を依頼し、等価交換を実行することを決めました。
鑑定評価や登記等の経費はかかっても、ここできちんと権利を整理して心配や面倒をなくす。
そして、両親が遺してくれた土地を活かす。
これが最良の道だと考え至りました。
双方の家族からの反応も良好でした。
江東、墨田、世田谷、3物件の鑑定評価書が出来上がるには1ヶ月ほどかかるとのこと。
私は、FRAからの評価終了の連絡を待ちました。
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世田谷の土地を完全所有するかもしれないEさん。
所有不動産の今後について、鑑定士の意見を聞きます。
【 FRAコンサルティングのマーケット分析 】
私は、違う角度からの質問も投げかけてみました。
「世田谷の土地でアパート経営をするという考えについてはどう思われますか。江東や墨田の土地は、今すぐなんとかしないと、先々に売るに売れないというようなことにはならないでしょうか」
鑑定士の答えは明瞭でした。
「世田谷のご所有地でのアパート経営は、前向きに考えても宜しいかと思います。ただ、首都圏では相続増税後にアパート建設が急増し、空室率が上昇傾向にありますから、収益については保守的に予測なさって下さい。お話を進めていかれるようなら、取り寄せていらっしゃる設計プランや収益モデルをご一緒に拝見することもいたしますよ。
江東や墨田は、交通利便や生活利便が向上し、また職住接近のトレンドが高まったこともあって、お二人がご実家にいらした時代より、区部の中での相対的な評価は上がっています。将来については、価格変動はあっても、売れなくなってしまう土地ではないと思います」
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