Monthly Archives: 12月 2018

 
2019nenmatu
平素は格別のお引き立てをいただき厚く御礼申し上げます。
 
誠に勝手ではございますが、下記年末年始の期間につきまして休業とさせて頂きます。
 

【休業期間】平成30年12月29日(土)~平成31年1月3日(木)

 
 
ご不便おかけいたしますが、何卒ご容赦ください。

皆さまがよき新年を迎えられますことを心よりお祈り申し上げます。

 
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不動産鑑定士の降矢等です。

前回、前々回のブログで、不動産評価の収益還元法で用いる還元利回り(キャップレート)とはどういうものか、をお話してきました。

今日は、実際の評価で還元利回りをどのように算定しているかご紹介したいと思います。
 

まずは調査からです。

 

女性買い物バッグ

①地域調査

地域ごと・用途ごとに、標準的不動産についての還元利回り(あるいは賃料÷不動産価格で求める表面利回り)の水準、または還元利回りの、が形成されています。
 
評価する不動産のある地域の調査を行い、その水準・幅を掴みます。

 

 

②事例調査

評価する不動産と同種で競争関係にある収益用不動産の取引事例を集め、還元利回りを把握します。

 

③不動産投資家調査

一般財団法人日本不動産研究所の「不動産投資家調査」をはじめ、信頼できる調査報告を参照して、基準となる還元利回りを把握します。
 
 

①~③の調査からわかる還元利回りについて、対象不動産の諸条件に応じたリスク反映を施します。
 

そして①~③の違ったアプローチによって得られた還元利回りそれぞれについて説得力の高低を見極めて総合的な判断を行い、対象不動産の還元利回りを決定します。
 
 

お客さまにお出しする書面にこれら調査の過程をどこまで詳しく記載するかはご依頼いただいた評価の種類やケースにより異なりますが、評価結果を左右する還元利回りについてご納得いただけるまでしっかりとご説明をさせていただきます。
 

不動産鑑定評価に関して何かご不明な点がおありの方は、ご遠慮なくお電話(03-3626-5160)にて弊社不動産鑑定士にご質問ください。

降矢です。

誤解されることが多い還元利回り(キャップレート)の本質について、シンプルなモデルを用いてご説明します。

先日のブログでも申し上げましたように、還元利回り銀行預金の金利とは本質が異なります。

 

<金利のモデル>

(前提)
7-1c491311fee50b1a5a9b383d45c6b27_s現金1,000万円を持っているとします。

(銀行預金中。金利は便宜上の設定です)

現金        金利     もうけ
1,000万円 × 1.0% = 10万円
1,000万円 × 2.0% = 20万円
1,000万円 × 5.0% = 50万円
1,000万円 ×10.0% =100万円

というように、元本1,000万円について、銀行に預けてもうけを得るには、金利は高ければ高いほどいい、と言えます。
 

~~ここで、頭を切り替えてください~~

 

上記モデルでは、現金という元本の価値が1,000万円と決まっていました。

以下モデルでは、もうけが決まっています。

 

<還元利回りのモデル>

(前提)

7-2bある人が築年数(使用可能年数)のみ異なり、ほかは全く同じ条件の2つの建物を所有しているとします。(賃貸中)
 
Aビルはあと10年、Bビルはあと20年で、使用不能・取壊しとなります。
 
取壊しまで、Aビル、Bビルから得られるもうけは、それぞれ毎年50万円です。
 
(なお、土地の価値や取壊し費用については考慮しないものとします。)

 

Step1:不動産の価値

ある人にとって所有する2つの不動産のいまの価値は以下のとおりです。

 

もうけ    使用年数
50万円 × 10年 =  500万円・・・Aビルの価値
50万円 × 20年 = 1000万円・・・Bビルの価値

 
 

Step2:不動産の還元利回り

もうけと不動産価値から、還元利回りを求めてみます。

 

もうけ    不動産の価値
50万円 ÷  500万円 = 10%・・・Aビルの還元利回り
50万円 ÷ 1000万円 =  5%・・・Bビルの還元利回り

 
 

Step3:還元利回りの意味するところ

AビルとBビルの違いは築年数(使用可能年数)だけで、長く使用できるBビルのほうがAビルより優良な不動産です。

 

還元利回りは、Aビル10%、Bビル5%で、10%-5%=5%。

 

Aビルの還元利回りのほうが5%高くなっていますが、この5%は使用可能年数が短いというAビルのマイナス項目にあたります。
 
ということで、還元利回り低ければ低いほど優良な不動産である、つまり不動産価格が高い、と言えます。

 
 
7-3b

 

最初に出した銀行預金の金利モデルのイメージに引っ張られ、還元利回りが高ければ高いほど優良な不動産、と誤解される方は多いです。
 

しかし、還元利回りが高いということは、築年をはじめ、建物のグレードや、管理・修繕の状況、将来の賃料変動の予測など、さまざまな項目を検討して見積もったリスクが大きい(=不確実性が高い)ことを意味するので、還元利回りが高ければ高いほどハイリスクな不動産なのです。
 
 
 

<還元利回り1%の違いはかなり大きい>

還元利回りの差は不動産価格を左右します。
 
先ほどのBビルを基準に、還元利回りを1%ずつ変動させてみます。
 

もうけ   還元利回り  不動産価格
50万円 ÷ 4% = 1,250万円
50万円 ÷ 5% = 1,000万円・・・Bビル
50万円 ÷ 6% =   833万円

 

還元利回りが1%変化すれば、不動産価格にかなりの違いが出ることがおわかりいただけるかと思います。
 

皆さまが収益還元法による評価をご覧になったとき、妥当性の判断が最も難しい項目のうちの一つが還元利回りではないでしょうか。

そのような場合には、どうぞ弊社不動産鑑定士にご相談ください。(電話:03-3626-5160)
還元利回りを含む収益還元法・収益価格についてのセカンドオピニオンをご提供いたします。
 

不動産鑑定士・降矢等です。

前回のブログまで、不動産に関係する今年の法改正を振り返ってまいりました。

 

6-1

 

2018年の不動産にまつわる事件について考えてみますと、シェアハウス融資事件と、地面師詐欺事件が二大事件と言えるでしょうか。

前者の事件については、不動産評価の手法である「収益還元法」を不適切な形で用いたことが不正行為として金融庁に認定されました。

 

 

不動産鑑定評価の3手法(原価法、取引事例比較法、収益還元法)の中でも、収益還元法はとても重要な手法で、弊社ではほとんどの評価でこの手法を適用しています。

他の手法に比べて、評価の過程に担当者判断による項目が多く(この点がシェアハウス融資事件では利用されてしまいました)、だからこそ一番神経を使う手法です。

判断すべき項目について、私どもでは、調査・精査を重ねた上で決定しています。

 

この収益還元法は、鑑定評価書をお受け取りになったお客さまから、3つの手法の中で最も多くのご質問をいただく手法でもあります。
 
 

収益還元法(直接還元法とDCF法とがありますが、ここでは直接還元法についてお話します)は、その名のとおり、

“不動産価格” を “収益” と “還元利回り” から求める方法 です。

 

6-2

 

“収益”の言葉が意味するところについては皆さまあまりお悩みになることはないと思います。

“還元利回り” は、いかがでしょう?

多くのお客さまから「”還元利回り”って・・・何ですか」とお声があがります。
 
 

 
キャップレートとも呼ばれている”還元利回り” は、

「①一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率
②将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測にともなう不確実性を含む」

というのが、不動産鑑定評価基準にある説明です。

・・・なかなかスッキリとはならない説明かと思います。

 

①より、(収益還元法による)不動産価格を左右する率
②より、将来予想やその予想が外れるかもしれない不確実性を織り込む率

よって、銀行預金の金利とは根本的に違う性質を持つものである、というイメージでお考えください。
 
 
上記イメージを出発点に、よくわかる!還元利回り「還元利回りの高い・低いと不動産の優良・不良との関係」「還元利回りの求め方」とこれからブログを続け、ご説明いたします。
 
次回を待たずこの先を今すぐ知りたい!という方は、どうぞお気軽にお電話(03-3626-5160)でお申し出ください。

個別にご対応させていただきます。

伊藤です。

2018年6月よりスタートした民泊新法では、民泊を「家主居住型」(住宅提供者が住宅内に居住しながら住宅の一部を利用者に貸し出す)と、「家主不在型」(住宅提供者が離れた場所にいる住宅を貸し出す)に区分しています。

 

家主不在型」民泊の健全な発展は、我が国で大きな社会問題となっている空き家問題への対策の一つとなりえます。

【関連記事】

空き家を一時的に貸すことができる時代になっています

 

家主居住型」民泊は、ゲストとホストの相互理解や国際理解につながる、体験を共有する意義があります。

こういった交流の一層の進展を願い、その一端を私も担っていくことができれば、と思います。

 

これまでの人生で私にとってもっとも記憶に残る宿泊体験は・・・大学時代のアメリカ・フィラデルフィアでの民泊です。

Victorian B&Bという名前で、自宅の一部屋が貸し出されていました。

B&Bとは、ベッドと朝食を基本とする小さな宿泊施設のことです。
民泊仲介サイト・エアビーアンドビー(Airbnb)の社名もここから取っています。

 

 

左の写真はVictorian B&Bのお部屋の様子です。
女性家主の方の手によってかわいらしくデコレーションされていました。

朝食に出てきたのは、オレンジジュース、イチゴ、メロン、クランベリー、マフィン、ワッフル、ソーセージ、紅茶。

上品で家庭的なお味のお食事を美しい食器や家具に囲まれていただき、西洋社会のおもてなしに接して深く感銘を受けました。

この民泊の体験のほか、ホームステイも幾度か経験していますが、家庭に泊まる時間はいつも発見に溢れていました。

 

その後家庭を持ち、子どもたちが少し大きくなった最近は、日本に学びにきた外国人の方のホームステイを受け入れるホストファミリーを時折しています。

 

国内の少子高齢化が深刻化し、国際情勢が複雑化する中、外国の方との相互理解がより一層大切となる時代です。

 

こういった時代背景を踏まえ、不動産の利活用で所有者の方のみならず世の中にもプラスを生み出していけるよう、全力でお手伝いをさせていただきたいと存じます。

 

お気軽にお電話(03-3626-5160)くださいませ。

 
不動産鑑定士・伊藤由美子です。
 
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2018年に施行された不動産関係の法令を振り返ってみますと…

一番印象深いものは、6月15日より施行となった民泊新法住宅宿泊事業法)です。

 
 

この新法に関係するさまざまなことを見聞きした一年でした。

 

施行前後、区分所有マンションの建物管理会社や管理組合に慌ただしい動きがありました。
管理に支障をきたすことを懸念する建物管理会社は、管理規約への民泊禁止条項の追加を管理組合に提案することが多く、住環境の悪化を懸念する所有者も民泊禁止を支持するケースが大半となったようです。

 

伝統都市の代表格である京都市では、市が新法に条例で上乗せした厳しい規制の影響で、民泊は伸び悩んでいると報道されています。
 
一方で、戦前からの木造建物が点在して東京の下町情緒を味わえる千駄木、根津、谷中一帯のいわゆる「谷根千」エリアでは、民泊施設は施行後も増加しています。

 

弊社代表の降矢は、今年の地価公示業務で民泊の広がりを感じたといいます。
 
地価公示の対象土地は、用途によって住宅地、商業地、工業地などに分類されますが、この分類の基礎となるのは現在その土地に建っている建物の現況用途です。
建物の状況に変化がないかを降矢が定期的に見て回るなか、民泊へ用途転換されているケースがありました。

 

 

施行から半年。
 
観光庁の訪日外国人消費動向調査の速報値や、民泊サイトの登録物件の状況からすると、全体として法施行前と比べ訪日客の民泊利用数は減っている模様です。

 

前述のように地域や物件ごとで事情は異なり、いまはまだ新法について評価を下せる段階にはないと思います。
 
施行から3年後の見直しについて付則規定がある中、関係者間の調和を図るよりよい制度が形作られて、民泊が発展していくことを願っています。
 

そう願う理由を中心に、次回ブログでも民泊について書いてまいります。

 
 

民泊物件としての適否についてお悩みがおありでしたら…↓

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降矢等です。

今年の法改正振り返り、の2回目です。

 

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2018年4月、市街地について大まかな土地利用の方向性を示す「用途地域」に追加がありました。

田園住居地域」(・・・農業の利便の増進を図りつつこれと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域) です。

 

 

これまで12種類だった用途地域は、これから以下の13種類となります。

住居系:第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、  第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域

商業系:近隣商業地域、商業地域

工業系:準工業地域、工業地域、工業専用地域

 

田園住居地域の創設の背景には、国の政策転換があります。

 

市街化区域内の農地は、社会経済の発展にともなう宅地需要を背景に、長らく「いずれ宅地化すべきもの」として位置付けられてきました。
 
しかし、今や人口減少の時代となり宅地需要は沈静化、農地を宅地に転用する必要性は低下しています。
 

加えて、社会に以下のような変化がみられます。

○食の安全への意識の高まり→地元産の「顔の見える」新鮮な農産物への評価、自ら作物を作りたいというニーズの高まり

○学校教育や農業体験を通じた、農業に対する理解と地域コミュニティ意識の高まり

○農業へ関心を持つリタイア層の増加

○東日本大震災を契機とした防災意識の向上による避難場所等としての農地の役割への期待の高まり

○都市環境の改善や緑のやすらぎ、景観形成に果たす農地の役割への期待の高まり

 
この状況をふまえ、国ははじめて農地を用途地域に位置付け、望ましい市街地像のひとつとして”住宅と農地とが共存するエリア”を新たに示したのです。

 

田園住居地域の創設に至る経緯は、国土交通省の以下資料に詳しく記されています。

『都市緑地法等の一部を改正する法律の施行について』

 

都市農地をテーマとする過去のブログ記事があります。よろしければお読みください。

【関連記事】

 導入30年が近づく生産緑地制度と都市農地

生産緑地面積は23区内2番目・世田谷の都市農地のリアル

 
なお、弊社の地元である墨田区では田園住居地域の指定はありません。
墨田区の用途地域指定の状況はこちら↓のブログでご確認ください。

【関連記事】

墨田区の用途地域は5種類 ~準工業地域、商業地域、近隣商業地域、第一種住居地域、工業地域

 

用途地域全般に関して、詳しいご説明をご希望の場合は、どうぞお気軽に弊社にお電話(03-3626-5160)を!

不動産鑑定士・降矢等です。
気温が20度を超え、コートもいらない状態には戸惑ってしまいますが… 12月に入りました。
今月のブログでは、この一年を振り返る内容をお届けしていこうと思います。
 
2018年も不動産に関係するさまざまな改正法が施行されました。

不動産鑑定評価では、施行日以後を価格時点とする評価について法改正の内容を反映します。

今年の改正のうち、私どもがインパクトを感じましたものをいくつか挙げてまいります。
 
まず最初は、「建蔽(ぺい)率」です。

 

 

建蔽率の「」が、ひらがな「ぺい」から漢字表記に変わりました。
建蔽率は、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合のことです。
「蔽」という漢字は難しい(常用漢字ではなかった)ので、長らく「建ぺい率」と表記されてきました。

 

 

しかし2010年6月7日、文部科学大臣の諮問機関である文化審議会が、「蔽」の文字を常用漢字として追加する「改定常用漢字表」を答申し、それ以後は徐々に国や自治体の文書に「建蔽率」の表記が増えてきていました。
 
そして、いよいよ都市計画法および建築基準法について、2018年4月1日を施行日として「建ぺい率」が「建蔽率」へと字句修正されたのです。

不動産関係業界をはじめ社会一般で「建蔽率」へのシフトが大きく進展することでしょう、

地価公示等の公的評価をふくむ鑑定業務全般で、弊社も「建蔽率」へと切り替えました。

 
建蔽率については、9月25日施行の改正建築基準法でも変更がありました。

防火地域または準防火地域の指定がされている土地に、延焼防止性能の高い建築物を建築する場合には、建蔽率の10%上乗せ受けられます。
 
所有者に防火改修・建替え等の実施を促すことで、建物のさらなる安全性の確保、市街地の安全性の確保を実現することを目的としています。

鑑定では、更地に建物の想定を行う場合など、しっかりとこの新法に対応してまいります。

 

建蔽率に関する法改正について、ご不明な点がおありの方はご遠慮なくお電話(03-3626-5160)にてご質問ください。