Monthly Archives: 9月 2019

FRAコンサルティング代表の不動産鑑定士・降矢等です。

このほど「令和元年 地価調査」の結果が発表となりました。

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  FRA代表鑑定士 降矢等 の仕事 ~東京都区部第5分科会(台東・墨田・江東)・幹事
  地価公示と地価調査の違い

 

今回の地価調査で発表されたのは7月1日時点の価格です。
 
都内に設定された評価ポイント(基準地)の価格は、全用途の平均で、前年比4.1%上昇しました。上昇は7年連続です。

商業地については、訪日外国人観光客が多い地域や再開発が進む地点の地価が大きく上がりました。

 
2318096f2a7d5b0a4d66953e9ed7a1ea_s私が地価調査の鑑定評価員として所属する区部第5分科会の担当エリアには、東京を代表する観光地・浅草があります。
 
半年前(1月1日時点)の平成31年度地価公示、一年前の平成30年度地価調査、の折にも、浅草の不動産市況の活況について当ブログで言及・解説してまいりましたが、令和に入ってからも、浅草の不動産市場の勢いは衰えず、関係者の耳目を集めています。
 

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  平成30年地価調査・なぜ浅草の地価は大幅上昇となったのか

 

平成31年地価公示では、浅草の中心地である浅草1丁目の評価ポイント・台東5-4が都内商業地の上昇率ランキングのトップでした。
 
続く今回の令和元年地価調査でも、同じ浅草1丁目にあるポイント・台東5-1が、上昇率34.5%都内商業地のトップです。

ちなみに、台東5-1の平成30年地価調査の時点における上昇率は15.4%。昨年は都内第2位でした。
 

台東5-23

台東5-23

 

浅草1丁目には、令和元年から新たに2地点の基準地が新設になっています。

台東5-23(浅草1-30-11)
台東5-24(浅草1-9-2)

 

台東5-24

台東5-24

 

 

この10数年の間、東京都での基準地の新設はありませんでした。
近年、地価上昇が勢いづいていることを受けて都が増設を決定した10ポイントのうち、浅草の2地点以外は中心区への設定です。

 
 
 
先月の地価調査結果の発表前後には、私どもへ複数の記者の方から市況についてのお問い合わせがありましたが、ホテル用や事業用を中心に浅草エリア不動産への引き合いは強いです。
 

次回令和2年の地価調査、価格時点は東京オリンピック・パラリンピックの開催直前(7月1日)、発表は閉会後(9月後半)となります。
 
向こう1年、引き続き市況をしっかりと見つめてまいります。

 
台東・墨田・江東をはじめ、首都圏不動産に関するご相談・ご質問がございましたら、どうぞお気軽にご連絡(03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします)ください。
 

弊社の所属する「日本不動産鑑定士協会連合会」が、来たる10月14日(月・祝)に講演会を開催します。

 

d1894a61d975756b2a961712083cba94_s無料講演会「リアルな世界と嘘の世界~隠れ家を探そう」

◇主催挨拶

:公益社団法人 日本不動産鑑定士協会連合会 会長 吉村真行

◇記念講演「リアルな世界と嘘の世界~隠れ家を探そう」

:作家 石田衣良 氏

 

日時:令和元年10月14日(月・祝) 10時00分~15時00分

場所:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1 有楽町マリオン11階)

定員:600名 入場料無料

申込:お申込みフォームより9月30日(月)17時まで受付

問い合わせ先:日本不動産鑑定士協会連合会 「記念講演会係」  電話(03-3434-2301)

 

土地月間と地価公示制度50周年を記念する講演会です。是非ご参加下さい!
 
 
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お電話は土日祝日もお受けいたします ⇒ 03-3626-5160

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弊社の所属する「東京都不動産鑑定士協会」が、来たる10月8日(火)に講演会を開催します。
 
無料講演会「夢を叶える生き方 -プロフェッショナルとしてのキャリア形成-」
 
4915234a2065b71e4df767c1c22225e0_s令和元年 東京都地価調査のあらましについて」 (約20分)

演者:公益社団法人 東京都不動産鑑定士協会 理事 服部 毅

夢を叶える生き方 -プロフェッショナルとしてのキャリア形成-」 (約80分)

演者:スポーツコメンテーター・元プロテニスプレーヤー 杉山 愛 氏

 

日時:令和元年10月8日(火)  13時30分~16時30分(予定)

場所:イイノホール(千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング)

定員:先着500名 入場料無料

申込:お申込みフォームより

問い合わせ先:東京都不動産鑑定士協会 「講演会係」  電話(03-5472-1120) FAX(03-5472-1121)

 

会場は日比谷公園からすぐの場所です。是非ご参加下さい!
 
 

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FRAコンサルティングの伊藤です。

令和がはじまって最初の夏が、終わりを迎えております。

この夏も、日本列島は猛暑と台風に襲われました。

先週9日未明には台風15号が首都圏を直撃。

本日午前の時点で、千葉県内ではまだ6万4,000軒が停電状態にあるとのことです…台風被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。早期復旧を心よりお祈りいたします。
 
 
DSC_0601関東に上陸した台風としては過去最強クラスだったそうですが、我が家の近隣でもすさまじい暴風雨が吹き荒れました。

恐ろしさのあまり、眠りが浅くなって、平常より2時間も早く目が覚めてしまいました。

7時を迎えたころには風雨は収まったものの、公共交通機関は軒並み運休して外出できず。
子どもの小学校は、登校時間が10:30へと繰り下げられました。

お昼前になって、世田谷区役所に調査に行くと、樹木が大量に葉を落として、まるで落葉の季節の風景のようでした。

夕方には、友人から家の屋根の一部が飛ばされてしまったと聞いて… 台風の破壊力に再び震えました。
 
 
台風の暴風からいのちと資産を守るためには、建物とその周辺に飛ばされるものがないかしっかり点検しておくこと、気象情報の収集につとめ、風雨が強まってきたらできる限り建物内にとどまること、が大切、と改めて気を引き締めました。
 
水害への備えも欠かせません。
排水設備の状態を点検して土のうや止水板を整備すること、避難行動をあらかじめシミュレーションしておいて危険が迫ったときには迅速に避難すること、が必要です。
 

水害リスクが年々高まっていく折、官民の動きについて3点ご紹介します。

① 都と全区市町村(島嶼部を除く)からなる広域的な治水対策推進組織の「東京都総合治水対策協議会」は、情報発信を強化しています。

「みんなで考えよう! 水害に強いまちづくり」

こちらのパンフレットは写真や絵が多用されていてわかりやすいです。是非一度お目通しください。
 

② 天気予報アプリの開発会社は、降雨をもたらす雨雲の動きの予測精度をAIを活用するなどしてより高めています。

ウェザーニュース・雨雲レーダー

安全な避難のために大切な情報が得られます。
 

③ 最後は不動産所有コストの増加につながる話ですが…
損害保険各社は、自然災害の増加、水濡れ災害の増加を受けて、10月より火災保険料引き上げ方向です。
 

天災に立ち向かうには、自助・共助・公助が欠かせません。

弊社ブログでも災害対策の情報を引き続き発信してまいりたいと存じます。
 
 

【関連記事】

川がなくても水害は起こります!世田谷区に聞いた水害への備え。

 

 

 

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FRAコンサルティングの降矢です。

更地価格を求めるための基本手法「取引事例比較法」と「収益還元法」について、前回までのブログでご紹介しました。

両手法とも、土地評価においていずれも重視すべき手法ですが、今日は土地評価の歴史を振り返り、歴史の中での両手法の位置付けの変遷を辿ってみましょう。
 
 
ze1f2ab54d01006cd0462fdaf46c313f_s明治6年、明治政府は地租改正を行うとともに、地券(土地の所有権を示す証券)を発行しました。このとき、明治政府は収益還元法によって農地などの土地価格評価を行っっています。

またこの時代、銀行が不動産を担保に融資を行う際にも、土地の収益性から担保価値を割り出しており、収益還元法による土地評価が広がり、定着していきました。

 

しかし、第二次世界大戦が終わって迎えた高度経済成長の時代に、土地評価手法に変化が現れます。

企業の事業用地需要や都市部の宅地需要などが増大し、土地の取引価格が急上昇していきます。
そこで、収益還元法よりも高騰相場がダイレクトに反映される取引事例比較法が土地評価の主流となっていきました。
 
その後バブルの終焉とともに、土地相場は下落へ。
土地神話崩壊を教訓に、収益の裏付けに基づき価格を算定する収益還元法は決定的に重要だと誰もが認識するようになりました。

Jリートが誕生し、不動産の証券化が一般的となった現在、収益還元法はより洗練され、ますます評価上の重みを増しています。

 
そんな収益還元法は、その評価過程において、多くの判断事項が介在します。そのため、時には収益価格に大きなブレが生じることがあります。

その不動産の真の姿を捉えているのかという視点で、判断項目についての検証が欠かせません。

また、取引事例比較法による比準価格も検証手段となります。
 

不動産鑑定評価の手法について、ご不明な点がありましたら、どうぞご遠慮なくお問い合わせ下さい。
(電話:03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします。)

降矢等です。

更地価格を求める手法のうち、収益還元法についてご説明します。

 

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収益還元法は、不動産の収益性に着目した手法で、直接還元法とDCF法があります。
 
直接還元法は、不動産を永久に保有したとして、これから先に不動産から生み出されていくであろう毎年の収益(=収入-費用)を将来の不確実性を加味しつつ現在価値に割戻し、その合計額として不動産価格を求める方法です。
 
 
DCF法は、不動産の永久保有ではなく一定期間保有後に売却するものとして、シミュレーションに基づく一定期間の収益と保有期間終了時の売却価格(復帰価格)を現在価値に割戻し、その合計額として不動産価格を求める方法です。
 
更地価格を求めるための直接還元法は土地残余法と呼ばれ、収益還元法を適用して求められた評価対象土地の価格を、収益価格と言います。
 

不動産価格の評価において、収益還元法は欠かすことのできない重要な手法です。

以前のブログでは、直接還元法で用いる還元利回りについて、数字モデルを用いてご説明しました。
こちらも是非ご一読ください。

【関連記事】

収益還元法・還元利回りが意味するところ
よくわかる!還元利回り ~還元利回りの高い・低いと不動産の優良・不良との関係
よくわかる!還元利回り ~還元利回りの求め方

 

最終的な対象土地の鑑定評価額は、この収益価格と他の手法によって求められた価格とを、評価のために採用した資料の精度や評価過程の説得力の違いによって重みづけして、決定します。

 

収益還元法についてさらに詳しい説明をご希望の方は、どうぞお気軽にご連絡下さい。
(電話:03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします。)

FRAコンサルティング代表の降矢等です。

更地価格を求める手法のうち、取引事例比較法についてご説明します。
 
取引事例比較法は、不動産の市場性に着目した手法です。

まず、対象地と用途が同じであるなど、地域としての条件が一致してひとまとまりであると考えられる地域(近隣地域)の範囲を判定します。

そして、その近隣地域内で、標準的だと思われる画地の条件(用途や面積、間口奥行など)を見定め、標準的画地を設定します。
 
 
r8a70f930a6f1aa845fd952bc5ee141_s次に、例えば弊社のある錦糸町のような市街地では、多くの土地取引がなされ、取引市場が形成されていますので、評価対象土地と似ていてライバル関係にあるとみられる土地が実際に取引された事例をできるだけ多く集め、その中から3~5程度の事例を選定します。

選定した取引事例それぞれについての近隣地域(対象地の属する近隣地域に対する類似地域と言えます)を判定し、それぞれの地域の標準的画地を想定します。
 
 

取引事例地とその属する近隣地域(類似地域)の標準的画地の比較

類似地域の標準的画地と近隣地域の標準的画地の比較

近隣地域の標準的画地と評価対象土地の比較

 
と、手順を踏み、その過程で取引に関する特別事情や取引年月日についての補正や修正も加えつつ、取引事例の価格から評価対象地の価格を導いていきます。
 
採用した取引事例の数だけ評価対象地の価格候補が得られますので、最後に、得られた複数の価格候補について類似性や信頼性の面から吟味をして、最終的な取引事例比較法による評価対象地の価格を試算します。

以上により、試算された対象土地の価格は、比準価格と呼ばれます。
 

最終的な対象土地の鑑定評価額は、この比準価格と他の手法によって求められた価格とを、評価のために採用した資料の精度や評価過程の説得力の違いによって重みづけして、決定します。
 
取引事例比較法についてより詳しい説明をご希望の方は、どうぞお気軽にご連絡下さい。
(電話:03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします。)

PISA0358

 

不動産鑑定士・降矢等です。

本日は、弊社に不動産の評価についてご相談下さるお客さまに、まず最初にお伝えしていることをブログでもご案内いたします。
 
 
弊社の不動産鑑定士がご依頼を受けて行う価格や賃料についての評価は、大きく

①不動産鑑定評価基準に則った不動産鑑定評価
②それ以外の価値評価

とに分かれます。

 
①の評価で発行させていただく書面が「不動産鑑定評価書」です。
これは不動産の鑑定評価に関する法律第39条にもとづいて、不動産鑑定業者が依頼者の方に交付する文書であり、この文書の作成を法律で認められた資格者が不動産鑑定士です。
 
②の評価で結果をご報告する書面は「不動産調査報告書」や「意見書」など。
弊社標準の書式のほか、お客様のご指定の書式での作成も承ります。
 
①と②のいずれの評価においても、専門職である不動産鑑定士が、理論的に不動産について評価を行い、ご依頼者が把握なさりたい価値を算定する、という点は同じです

①と②では、評価における調査・資料収集の範囲や、適用する鑑定評価の手法の数、ご報告書面への記載事項などが異なります
 
価値把握の目的、評価にかけられるお時間・ご予算等に応じて、最適な評価形式をお選びいただけます。

お客さまから不動産の状況やご要望についてじっくりとお話を聞かせていただいた上で、担当鑑定士より形式のご提案を差し上げることもできますので、まずはお気軽にご相談(03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします)ください。
 

さて、不動産の価格あるいは賃料をもとめる鑑定評価の手法には、下に列挙したような、複数の手法があります。
 

価格を求めるための評価手法

原価法、取引事例比較法、収益還元法(直接還元法、DCF法)、開発法

賃料を求めるための評価手法

積算法、賃貸事例比較法、収益分析法、差額配分法、利回り法、スライド法

 

不動産鑑定士は、案件ごとに、数ある鑑定評価手法から適切な手法を選定します。

ごく稀に、お客様とのご相談に基づき、評価する不動産の性質に最も適合した1手法のみで評価を行うこともありますが、ほとんどの鑑定評価・価値評価では、複数の手法を適用し、求められた複数の価格・賃料を比較し相互に検証して、適正な価格あるいは賃料を決定しています。
 
 
q6c7e8ff35bed2b9881bab9cb96477_sたとえば、弊社のある錦糸町駅周辺の大通り背後に位置する100㎡程度の土地(更地)、が評価対象だとしますと、その価格評価には、取引事例比較法 と 収益還元法 を適用します。

原価法は、不動産の調達コストに着目し、同じ不動産を作るのにはいくらかかるかを求めることから始める手法ですが、錦糸町のような既に市街地になっている場所にある土地については、完成宅地となっていない宅地造成工事前の土地(素地)価格を知ることができないので、適用しません。

 
また、開発法は、近隣の標準的な土地の面積と比べ大きな規模の土地について、マンション分譲、建売分譲、更地分譲などの開発を行うことを想定して土地価格を求める手法なので、上の例ではあてはまらず、こちらも適用しません。
 

更地価格を求めるための基本手法、取引事例比較法と収益還元法については、次回以後のブログでご説明いたします。