不動産相続のご相談をお受けして25年となる不動産鑑定士・降矢等です。
 
以前、72歳男性の方より以下のご相談をうけたまわりました。
 
「8年ほど前に一人暮らしだった母が亡くなり、古い一軒家とその土地を相続しました。その後、売却も考えましたがその当時は不動産価格が上昇しており、様子を見ていました。また、固定資産税も思ったほど高くないので、結局未利用のまま所有してきました。ところが、1年ほど前、そのご近所の方から『長い間、空家のようだけど、このままだと危険だし、景観も悪いので取り壊してほしい』という旨のお話があり、今後どうしたらよいか、どのようにすれば経済的に有益かを教えてほしい」
 
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これは高齢化先進国・日本の大いなる悩みごと、空家問題※ですね

(※老朽化した家屋などが空家のまま長く放置されると、防犯上の問題や火災の発生、自然崩落・倒壊等の危険性、加えて景観や生活環境の悪化をもたらすという問題)。

 
総務省の住宅・土地統計調査によると、2018年時点で全国の空家は約849万戸です。
 
住宅用地の場合、空家でも古くても敷地が小規模宅地に相当する部分は土地の固定資産税が6分の1まで軽減される措置がありますので、仮に家屋を取り壊し、更地となると固定資産税に軽減措置がなくなって従前の6倍の税金がかかってしまいます。

それを回避するために所有者は家屋が老朽化してもそのまま放置しておくケースが多く、徐々に空家が増加し社会問題となったわけです。
 

この空家増加現象を少しでも解消する目的で、2015年2月26日から税制優遇措置を見直す「空家対策特別措置法」が施行されました。(2023年12月13日には改正法が施行。)
 
老朽家屋をそのままにし「特定空家等」とみなされてしまった場合、更地と同等の高額な固定資産税を課される可能性があります。
 
つまり、このご相談の方のお悩みは、このままだと所有者責任に加えて、税額も6倍になってしまうという二重の問題を抱えていることになります。
 
 

決して話(不安)を大きくしているのではありません。
 
この空家問題を放置せず、良策を検討することをお勧めしようと思い、ブログアップした次第です。

 
解決策としてはいろいろあります。たとえば、①このまま売却する方法、②大幅な改装を行って貸家とする方法、③取り壊して更地化し、駐車場等として一時貸しする方法、④同様に更地化して建物所有目的の貸地とする方法、⑤取り壊して賃貸マンションを建築し、賃貸運営する方法、⑥銀行等に委託(信託)して管理運用を任せる方法、等々ありますが、本件では、その立地条件を検討した上で、お客様の資金力や融資の可能性、また将来動向を見込んで、ズバリ上記⑤をお勧めしました。もちろん賃貸事業を行うにあたっては相応の専門業者との委託契約も必要ですが、全ての専門業者が高い信頼性と数多い実績を有するとは限りませんので併せてご相談に応じております。
 
空家問題等でお悩みの方は、弊社までお気軽にご連絡ください。

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