東京国税局土地評価鑑定評価員(主幹)をつとめております不動産鑑定士・降矢等です。

昨日、「(相続税)路線価」最新版が公表されました。

 

路線価? よくわからないなぁ…、という方はいらっしゃいませんか。

「路線価」は、相続税や贈与税を計算するときの基準となるもので、1㎡あたりの価額(千円単位)で表示されます。

国税庁は毎年7月、路線価図と評価倍率表からなる財産評価基準書によって、同年1月1日時点の価格を公表しています。

 

”終活”が盛んになるにつれ、相続税や贈与税にかかわる路線価に目が向けられる場面が増えました。

でも、上記のような説明だけでは、なかなかピンとこないものですよね。

 

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そんなあなたに、路線価をわたくし降矢がポイント解説いたします。

十数年、国税局が路線価を決定する根拠の一つとなる相続税標準地価格を鑑定し、いまは同じ地区を担当する不動産鑑定士の取りまとめ役を担っております。

 

路線価を理解すれば、不動産の相続や贈与はもちろん売買にも役立てることができますよ!

 

 

 

1.路線価のポイント!

路線価について知るべき一番のポイントは、路線価は地価公示価格の80%の水準で設定されている、ということです。

公示価格は、国土交通省が「適正な土地取引価格の指標」として公表している土地価格です。

ですので、路線価を0.8で割ると公示価格の水準、すなわち、その土地について国がこうあるべきと考える売買価格がわかります。

 

こちらの【関連記事】もあわせてお読み下さい。
やさしくわかる!土地の「一物四価」

 

なお、「地価公示」等の用語説明は、弊社ホームページの「よくあるご質問 -不動産の価格についてのご質問」にまとめております。

 

路線価は、以下のような路線価図で、示されます。
(路線価が定められていない地域の土地には、評価倍率表で示す評価倍率が用いられますが、この記事では触れません。)

 

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出典:国税庁『路線価図の説明』より

 

2.路線価の使い方①: 相続・贈与

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相続税贈与税の金額を計算するため、路線価を使います。

基本は、「土地が接する道路につけられている路線価×面積」ですが、その土地の個性(形や複数道路に接しているか、など)によって補正を行い、最終的な評価額となります。

これが本来的な路線価の使い方です。

 

 

 

3.路線価の使い方②: 相場把握

その土地周辺の相場をつかむ最初のステップとして、不動産鑑定士をはじめ不動産のプロは路線価を見ます。

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1.でご説明したように、路線価を0.8で割ると、その土地について国がこうあるべきと考える売買価格が計算できます。

 
この0.8割戻し金額程度の取引が多い地域もあれば、路線価の1.5倍程度が相場となっている地域、路線価そのままでもなかなか買い希望が入らない地域など、エリアごとに水準が形成されていることが多いため、路線価は相場をつかむ手がかりとなります。

 

 

ここで一つ注意していただきたいのが、ここでつかんだ相場≠その土地の時価 という点です。

 

路線価を手がかりとした価格には、一つとして同じものがない土地に備わった個性が反映されていません。
そういった個性までを織り込んだ売り希望価格を出し、その価格で買い手がついてはじめて、時価がはっきりします。

 

さいごに

路線価のポイントとその活用法、ご理解いただけましたでしょうか?

ひとつ補足があります。
買い手がついてはじめて時価がわかる、と上記しましたが、売却せずに正しい時価を知る方法がもう一つあります。
それは、不動産鑑定士の鑑定評価です。

 

売らないけれど時価を知りたいという方は、お問い合わせフォームまたは、お電話(03-3626-5160)にてお気軽にご連絡ください。

 

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