2019/12/13
不動産鑑定士・降矢等です。
「表参道にある店舗物件(美容室)」の賃貸借契約の更新に際し、5年前に合意した現行の賃料について、オーナー側は25%の賃料アップが妥当だと主張、テナント側は25%は上げ過ぎで妥当ではない、と見方がわかれました。
商業地価格が上昇傾向にあり、店舗の賃貸市況が良好なときに、このような認識の違いはよく生じます。
今回の物件は表通り沿いではなく、裏通りに面していることが、当事者間の溝を一層深めていました。
ある商業地域において、表通り(広い幅員のメインストリート)沿いの不動産は、その地域の商況のみならず、代替関係が認められる他の地域(たとえば、表参道であれば銀座)の商業動向や一般的な景気の影響を受けながら価格や賃料が変動し、その振れ幅は大きく変化スピードは急速になりがちです。
代表的な商業エリアの不動産市況には人々の関心が集まるものですが、報道や伝聞によって耳に入ってくるそれら地域の不動産市況というのは、おおむねこの表通り沿いの情報となります。
裏通り沿いの不動産は、前述の表通り沿いの不動産とは、価格や賃料の形成過程が少々異なります。
そのエリアの表通り沿いの不動産と同様のトレンドを辿りつつも、表通りと比べれば変化の幅や速度は控え目なものとなることが多いです。
表通りは賑わう商業地であったとしても、その裏手は住宅が中心でそこに店舗や事務所が混在している、ということがよくあります。
東京では、表参道のほか代官山がこのタイプにあたり、木造住宅やマンションの居室が転用されて、店舗や事務所となっていることが珍しくありません。
こういった物件は、表通り沿いに建つ立派な店舗ビル、店舗・事務所ビルとは、特性が違ってきます。
裏通り沿いにある商業物件の評価に際しては、近隣地域の特性や物件の個性を適切に見極め、細やかな分析を行って、妥当な金額を導き出す必要があります。
弊社は、美容室、エステサロン、アパレル、飲食店等の業態で、メインストリート背後やビルの上層階で営業をなさっていらっしゃるお客さま、あるいはそういった物件を所有・賃貸なさっていらっしゃるお客さまから、家賃や立退料について鑑定のご依頼を多数いただいております。
個別事情をしっかりと反映した、交渉に活かせる評価書を作成し、お客さまからお喜びの声を頂戴してまいりました。
店舗不動産の賃貸借に関して具体的なお悩みごとがおありでしたら、お問い合わせフォームまたは、お電話(03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします)にてお気軽にご相談ください。
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