2018/08/14
底地の売却をお手伝いしてまいりました、不動産鑑定士・降矢等です。
「底地」を借地人に買ってもらいたい。
でも、どう話を進めていけばいいのだろうか… 地主の方からよくいただくご質問です。
所有する土地をどなたかに貸していていて、借地権などが設定されている場合の、その土地の所有権のことを「底地」といいます。
少ない地代収入しかないのに、相続税評価額は高かったり…底地を手放したい、とお考えになるタイミングってありますよね。
第三者で底地を買ってくれそうなのは、底地買い取りを専門とする不動産業者のみ。
彼らには、相当安い金額でないと買ってはもらえません。
底地は借地人に買っていただくのが一番です。借地人は底地を購入すれば制約のない土地所有権を手にすることができます。
不動産鑑定評価書を利用すれば、借地人との交渉がよりスムーズになります。
この記事では、底地の解消を目指す2つの方法をご紹介します。
1.借地人に底地を買ってもらう 
借地人に、底地を買ってくれないか、話をもちかけましょう。
このとき、底地についての不動産鑑定評価書をお持ちになって下さい。
鑑定評価書が必要となる理由は・・・
① 底地の適正な価格を一般の方が知ることは困難
借地人に売る場合は、第三者へ売る場合と異なり、制約のない土地所有権が回復する価値が金額に上乗せされます。
不動産鑑定士は、こういった価値も理論的に計算していきます。
② 根拠に基づく価格なので、説得力があり、借地人との交渉が円滑になる
合理的な希望価格を示しておけば、もし資金の問題で今すぐは買えないとしても、資金準備を進め、条件が整ったら借地人が購入してくれるかもしれません。
これまで円満な関係にあったのであれば、借地人は新地主の登場を(地主変更による地代値上げの心配もあり、)望まないはずです。
2.借地人の借地権とあなたの底地を交換する
借地人と話をして、借地人は底地を買って所有権がほしい、けれど買う資金がない、とわかった場合には、「固定資産の交換特例」が活用できないか、考えてみましょう。
2-1.「固定資産の交換特例」とは
土地を売却すると、通常、譲渡益について譲渡税がかかります。
しかし、固定資産の交換特例を利用できると、等価の部分について課税されなくなります。
売買と違って多額の現金を用意する必要がない、不動産の権利関係を整理するのに役立つ手法です。
特例の適用にはいくつかの要件がありますが、ポイントとなる要件は、”同一種類の不動産”と”交換する資産の時価の差額が、いずれか高い方の20%以内であること”です。
底地と借地権は、実は、どちらも土地の種類の一つです。
そこで、底地の一部と借地権の一部との交換は、”土地と土地との交換”、となり”同一種類の不動産”の要件はこれで満たされます。
そして、交換する資産の時価の差額が、いずれか高い方の20%以内であれば特例が使えます。
なお、交換する底地と借地権の時価に差がある場合は、交換時に「差金」として現金での精算が必要となり、その金額については課税されます。
また、交換時の時価が適正なものでなければ、税務署は交換特例の適用を認めてくれません。
地主・借地人・税務署それぞれが納得できる「時価」の算出と交換の枠組みをづくりを不動産鑑定士がお手伝いします。
2-2.現金を使わずに、底地一部を更地(完全所有権)とした具体例
2-1.の説明だけではお分かりになりにくいと思いますので、底地と借地権の交換を、事例でみていきましょう。
土地面積:400㎡
地主Aさんの持つ底地: 時価2,000万円
借地人Bさんの持つ借地権: 時価6,000万円 であったとします。
すると、
①底地300㎡の価値・・・1,500万円
②借地権100㎡の価値・・・1,500万円 です。
そこで①と②を交換します。
結果、
地主だったAさんの持つ更地(完全所有権): 100㎡
借地人だったBさんの持つ更地(完全所有権): 300㎡ と整理されます。
さいごに
借地人との交渉で底地を解消する方法について、売却と交換という2つの方法をご紹介しましたが、もし、資金事情が許すようであれば、借地権をあなたが買い取り完全所有権とすることも有効です。
借地権、底地のご相談を、初回無料(60分)でうけたまわっております。
どうぞお気軽にご連絡(03-3626-5160 土・日・祝日も受付いたします)ください。