2018/01/23
前回ブログで取り上げた第2回目立会(一筆地の境界確認立会)で、世田谷区が調査測量した境界位置と土地面積がマンション所有者(土地共有者)へに示されました。
この提示への所有者の反応は…
まず、境界位置についての疑問はほとんど出ませんでした。
一方、測量による土地面積には戸惑いの声が多く上がりました。
土地面積は、
①建築当時の測量面積 < ②現時点の測量面積=今後の登記面積 < ③現時点の登記面積
と判明。
この結果に、少なからぬ所有者の方が、いま登記簿に載っていて課税基礎ともなっている面積(③)と、地籍調査の結果による面積(②)に差(約0.62%減少)が生じることに納得できない、面積が減ると資産価値が減少するのではないかと、困惑していました。
マンションの管理組合理事の方々と私は、状況分析をご一緒しました。
面積に差が生じる理由は、以前のブログ、地籍調査におけるハードル その① ~「面積のズレ」が必ず生じます に書いた事情によると理解できます。
マンション資産価値への影響については、私は以下のような個人的意見を申し上げました。
(1)現在の資産価値に影響はない
地籍調査の結果が登記簿に反映された前後で、それぞれの区分所有建物についての資産価値の変動は起こらない。なぜならば、マンション一戸の売買時に考慮されるのは個別のユニット面積等が中心で、ごく僅かの共有敷地面積の変動が価格形成に影響することはない。
(そもそも物件の現実の状況については登記内容変更の前後で全く同じ。)
(2)将来の資産価値についての影響もほぼない
将来の建替え時には、共有敷地面積は価値要素となるが、将来時点の価値については土地相場の変動やその時点での法規制の状態が大きく影響し、僅少な敷地面積変動は土地相場・法規制の変動と同様、将来不確定要素の範囲と解釈できる。
(今回の地籍調査に伴う測量がなくとも、将来、建替えのための測量がなされ、その時点で測量方法の進歩等によって過去資料にある面積との違いが生じる。)
(3)資産維持コスト(=固定資産税)についての影響もほぼない
今回登記簿上の敷地面積が減ることで、他の条件が同じであれば、固定資産税の金額はマイナス方向へ動く。しかし他の条件は変動する、すなわち土地の評価は3年に1度の見直しがなされる。課される税金の額への影響は、ごく僅かな敷地持分面積の変動よりも、評価の変動のほうがおそらく大きい。よって、個人が受け取る納税通知の金額の段階で、地籍調査による測量で減税になったと実感することはまずないものと思われる。
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