2019/03/26
FRAコンサルティング・代表鑑定士の降矢です。
平成31年地価公示で、都内商業地の上昇率トップ3が浅草エリアの地点となりました。
1位 台東5-4 (浅草1丁目) 34.7%
2位 台東5-28 (浅草2丁目) 24.9%
3位 台東5-5 (西浅草2丁目) 24.8%
この上昇の背景について、段階を追って見てまいります。
①元・浅草寺所有地が取引市場へ
浅草寺はその寺社の敷地のみならず、周辺土地を広く所有しています。
浅草寺周辺の商業地は寺社から事業者が土地を借りて商売をしている、という借地が多いエリアです。
その借地関係について、この2、30年の間に少しずつ変化が生じています。
土地を手放すことに慎重な姿勢であった寺社が、長年の契約関係に引きずられた安い賃料しか得られない土地であるのであれば、借地人に売却してもよしと考え、その一方で借地人の中にも安い賃料はいいがずっと借地を続けるよりはやはり土地を所有をしたい、と思う人が出現し、地主である寺社とその借地人との間で土地売買が成立するケースが出てきていました。
そういった元・寺社からの借地人の所有地が、地価が上昇している中で相続などをきっかけにさらに第三者へと売り出されるケースも見られるようになって、土地取引が極めて少なかった浅草の一等地周辺で土地取引の厚みが増しつつあります。
②訪日外国人旅行者数の底堅い増加傾向
訪日外国人旅行者数は平成24年(東京スカイツリー開業の年です)以後、増加を続けています。
平成24年 8,358,105人
平成25年 10,363,904人
平成26年 13,413,467人
平成27年 19,737,409人
平成28年 24,039,700人
平成29年 28,691,073人
(日本政府観光局調査による確定人数)
平成30年の訪日客数については、新聞報道によれば3119万人に達した模様です。
政府が掲げる4000万人の目標に向けて、種々の施策がこれからも展開されていきます。
③浅草および周辺における事業者の高い事業意欲
前述の訪日客の動向等をふまえ、ホテルや飲食、物販等の事業者は、東京オリンピック以後も観光客は増加を続け、浅草周辺の商業ポテンシャルは高まるものと予測し、浅草エリアの不動産需要を強めています。
スカイツリーの開業が起点で東京オリンピックがゴール、のような一時的な浅草ブームによる土地需要増でないことは、オリンピックの宿泊需要には間に合わないホテル用地取引が2018年の間に多々あったこと、浅草寺周辺からより外側へと土地需要・地価上昇が波及していること、などから見てとれます。
以上の状況を踏まえ、浅草の地価上昇はいよいよ本物で、中長期的なトレンドであろうと広く認識されるようになったことが、今般の高い上昇率の背景にあります。
浅草周辺の個別の土地に関するご相談ごとなどがございましたら、どうぞお気軽にご連絡(03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします)ください。
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