2019/09/13
FRAコンサルティングの降矢です。
更地価格を求めるための基本手法「取引事例比較法」と「収益還元法」について、前回までのブログでご紹介しました。
両手法とも、土地評価においていずれも重視すべき手法ですが、今日は土地評価の歴史を振り返り、歴史の中での両手法の位置付けの変遷を辿ってみましょう。
明治6年、明治政府は地租改正を行うとともに、地券(土地の所有権を示す証券)を発行しました。このとき、明治政府は収益還元法によって農地などの土地価格評価を行っっています。
またこの時代、銀行が不動産を担保に融資を行う際にも、土地の収益性から担保価値を割り出しており、収益還元法による土地評価が広がり、定着していきました。
しかし、第二次世界大戦が終わって迎えた高度経済成長の時代に、土地評価手法に変化が現れます。
企業の事業用地需要や都市部の宅地需要などが増大し、土地の取引価格が急上昇していきます。
そこで、収益還元法よりも高騰相場がダイレクトに反映される取引事例比較法が土地評価の主流となっていきました。
その後バブルの終焉とともに、土地相場は下落へ。
土地神話崩壊を教訓に、収益の裏付けに基づき価格を算定する収益還元法は決定的に重要だと誰もが認識するようになりました。
Jリートが誕生し、不動産の証券化が一般的となった現在、収益還元法はより洗練され、ますます評価上の重みを増しています。
そんな収益還元法は、その評価過程において、多くの判断事項が介在します。そのため、時には収益価格に大きなブレが生じることがあります。
その不動産の真の姿を捉えているのかという視点で、判断項目についての検証が欠かせません。
また、取引事例比較法による比準価格も検証手段となります。
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