不動産の親族共有を回避!? 遺留分減殺請求権が金銭債権化!

2019/08/16

代表鑑定士の降矢です。

2019年7月1日に施行された改正相続法のうち不動産に関係が深い3項目についての解説、2回目です。
 
◆遺留分制度の見直し◆

遺産分割について、原則的には自由に遺言をすることができます。

ただ、相続人の生活を守るために、相続財産の一定割合を一定の相続人が取得することを民法が保証しています。
これが遺留分です。

1478796遺留分を得るためには、相続開始あるいは遺留分の侵害を知った時から1年以内に「遺留分減殺請求」を行います。
 
これまで、遺留分減殺請求権が行使されると、遺贈(または贈与)の一部が無効となって物権的効果が生じる結果、相続財産が不動産の場合には共有状態が生じることが見られました。

 

 
共有不動産は、その不動産の使用・利用や、処分の場面で、不便や問題が起こりがちです。

この点、下記ブログにて詳述しておりますので、ご参照ください。

なぜ、不動産の共有は危険?

 
 
遺留分制度は、そもそも相続人の生活保障が目的です。

このような制度趣旨に照らすと、遺留分権利者には遺留分侵害額に相当する金銭を取得させれば十分であると考えられます。
 
そこで今回の改正では、権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生じるものとして、遺留分減殺請求権を金銭債権化することになりました。

こうすることで、遺留分減殺請求権の行使による共有関係を発生させず、遺言者の特定の不動産を受遺者に与えたいという意思を尊重することもできます。
 
なお、金銭を他の相続人に支払わなければならない受遺者への配慮として、金銭を直ちに準備することができない場合には金銭債務の全部または一部の支払いについて支払期限の猶予を裁判所に求めることができる、と規定されています。

 
これまで不動産の共有解消を、不動産鑑定でお手伝いしてまいりました。

ご依頼を受けた案件には相続がらみで共有となってしまった事例が多く、遺留分制度の見直しは意義深いと感じております。

 

遺留分減殺請求権を行使する際の不動産評価もお受けしています。

相続不動産についてのお悩みごとがおありの際は、どうぞお気軽にお電話でご相談ください。
(03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします。初回ご相談は無料です。)

 

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