2018/08/10
不動産相続を自らも控えております、不動産鑑定士・降矢等です。
遺産分割の協議にあたり、不動産の価格はどう計算すればいいのか…
お悩みの相続人が多くいらっしゃいます。
相続税法では、相続財産はいずれも「時価」で評価するものとされています。
第三章 財産の評価
第二十二条 (評価の原則)この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。出典:相続税法
相続の時点で不動産を売ってしまい、代金を分割する形にするならば、不動産の時価ははっきりしますが、そうでなければ相続人のみなさんが時価を自然に知ることはできず、困ってしまいますよね。
この時価の問題が、相続では不動産についてが一番もめる、といわれる理由の一つとなっています。
売却以外で、時価を知る方法が、不動産鑑定士による不動産時価評価です。
遺産分割協議がまとまらず、最終的に裁判になってしまったときには、裁判所は鑑定士に不動産評価を命じ、その金額を評価額(時価)として採用しています。
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ただ、鑑定評価によって不動産の時価を定めねばならない、との決まりはなく、当事者の合意があれば、どのような方法で決めてもよいことになっています。
そのため、以下1.~3.のようなやり方をなさる方もいますが、後になってトラブルが生じることがあるので注意が必要です。
目次
1.相続税評価額や固定資産税評価額とする方法
相続税評価額・・・相続税や贈与税の税額の計算のもとになる不動産の評価額
固定資産税評価額・・・固定資産税や都市計画税、不動産取得税や登録免許税の税額の計算のもとになる不動産の評価額
時価より低い価格水準となっているケースが大半(まれに時価より高い水準となっていることもあり)だが、これら評価額をそのまま時価とする。
2.相続税評価額や固定資産税評価額を調整する方法
1.での説明の通り、相続税評価額や固定資産税評価額は、時価より低い(まれに高い)水準となっているので、相続税評価額や固定資産税評価額に上方修正(あるいは下方修正)を加えた価格を時価とする。
3.近隣の地価公示・地価調査※の情報や売り出し価格情報、不動産業者の査定額を参考とする方法
いわゆる”相場”を大まかにつかむための情報を集め、集まった情報を参考に相続人たちで決めた金額を時価とする。
※地価公示・地価調査についての説明は、弊社ホームページの「よくあるご質問 -不動産の価格についてのご質問」と、【参考記事】をご参照下さい。
【参考記事】
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4.不動産鑑定評価以外の方法による時価評価の問題
不動産鑑定評価では、一つとして同じもののない不動産の個性をしっかりとふまえ、マーケットに出されたときにその不動産がいくらで売れるのか、多くの根拠をともなって客観的に時価を出します。
しかし、前記1.~3.の方法には
・不動産の個性を金額の大小として反映することが十分にできない
・時価の判断にいたった経緯を論理的に説明できない
・相続人、仲介業者、それぞれの立場が時価の判断に影響してしまうことがある
といった問題があります。
そのため、第三者(とくに税務署)からみて適正な時価とは認められない、あとになって当事者のだれかが時価に疑いを抱いたら収拾がつけられない、というようなトラブルが起きてしまいがちです。
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さいごに
公平な遺産分割、不安のない遺産分割のために、不動産鑑定評価によって不動産の正しい時価を求めた上で、話合いを進めることが重要です。
気になる鑑定評価費用については、お話を詳しくお聞きした上で、お見積もり(無料)をお出ししております。
【ご参考】 弊社HPより「料金一覧」
どうぞお気軽にご連絡(03-3626-5160 土・日・祝日もお受けします)ください。