親子間の不動産売買で、みなし贈与とならない価格を決めるただ一つの方法

2018/08/07

 
親族間売買についてご相談を多くいただいている不動産鑑定士・降矢等です。
 
dadanddaughter

子どもとの間で不動産の売買をするとき、価格をいくらにするかは、なやましいものです。
 
一般の市場取引での時価よりも大幅に低い価格であると税務署が判断して、「みなし贈与」となってしまったら、大変です。
 
相続税法に…法律的な贈与があったとはいえなくても、財産を取得した事実や経済的な利益を受けた事実によって、実質として贈与と同じようなメリットが生じているときには、公平な税負担とするために、その財産を贈与によって取得したものとみなして(みなし贈与)贈与税を課税する、という規定があります。

 

 

思いがけず税金を払うことになるのは…何としても避けたいことですよね。

親族間売買、とくに親子間売買には税務署の厳しい目が向けられるようですから、気がかりです。

 

このみなし贈与による課税の心配をなくすには、不動産鑑定評価書を活用なさってください。

不動産鑑定士が計算した鑑定評価額(取引時点の時価)によって価格が決まっていれば、税務署は、通常、問題のない売買と考えます。

さらに、鑑定評価書という証明書を手にしておけば、兄弟姉妹など他の親族の方から、安すぎるのではないか…、高すぎるのではないか…、と不満の声があがったとしても、堂々と反論ができ、身内トラブルも防げます。

 

 

不動産鑑定評価書による価格決定について、他の方法と比べながらお話します。

 

1.鑑定評価書によらない親子間売買の価格の決定方法

 

不動産鑑定評価額により取引価格を決定する以外には、次の2つの方法があります。

 

1-1.指標・情報を参考に決める

売買する不動産について、

・固定資産税評価額※
・相続税評価額※
・近隣の地価公示・地価調査※の情報
・近隣不動産の売り出し価格情報

といった指標・情報をインターネットなどを利用してできるだけ多く集め、これを参考に時価を決めます。

※の各用語についての説明は、弊社ホームページの「よくあるご質問 -不動産の価格についてのご質問」をご参照下さい。

 

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1-2.不動産業者の査定額を参考に決める

不動産業者に査定を頼み、出た査定額を参考に時価を決めます。

 

 

2.親子間売買での価格決定について鑑定評価書による方法とそれ以外の方法との違い

 

大きく3つの点で違いがあります。

 

2-1.費用がかかるか、かからないか

指標・情報の収集にはほぼ費用はかからず、不動産業者の査定も無料ですが、不動産鑑定評価には費用がかかります。

 

【ご参考】
「料金一覧」(弊社HPより)

 

2-2.税務署への説明力があるか、ないか

 税務署が時価に関する説明と受け取るのは不動産鑑定士による評価で、指標・情報や不動産業者の査定の提示は、税務署への時価説明にはほぼなりません。

 

2-3.複雑な不動産に対応できるか、できないか

 権利関係や土地・建物が複雑な状況にある不動産で、ご所有者親子や不動産業者に時価がわからない場合でも、不動産価値についての専門職である不動産鑑定士であれば時価を算定することができます。

 

3.不動産鑑定評価書が親子間売買の価格決定根拠として最強である理由

 

2.の内容とも重なりますが、以下3つの理由より、親族間不動産売買の価格決定根拠として最強です。

 

3-1.適正な時価がわかる

一般には価値がわかりづらい複雑・特殊な不動産であっても、時価を明らかにすることができます。

3-2.公的な証明書類となる

税務署や裁判所への説明資料となり、税務調査対策ができます。

3-3.価格についての責任の所在がはっきりする

鑑定評価書に記名押印した不動産鑑定士が鑑定評価額に責任を負い、説明責任を果たします。

 

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さいごに

965587親子間での不動産売買で、みなし贈与とならない価格とする、ただ一つ安心できる方法は、不動産鑑定士の鑑定評価額に基づく方法です。

 

とくに、個性が強くさまざまな見方ができる不動産や、高額な価格水準となる都心部にある不動産、逆に引き合いがほぼないような地方の不動産については、税務署の指摘余地が大きくなりますから、不動産鑑定評価書が”お守り”になります。

 

 

ご希望の取引価格が適正時価の範囲にあるかどうか、無料の簡易査定で不動産鑑定士がお答えいたします。

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