2019/10/08
不動産鑑定士・降矢等です。
前回ブログで、”水害リスク”を「新たな不動産の価格形成要因」して、鑑定業界で議論が始まっている、とお伝えしました。
「新たな価格形成要因」として、もう一つ、議論の対象となっている事象に、”羽田空港の新飛行ルート”があります。
羽田空港は、2020年3月29日より新飛行経路の運用を開始し国際線を増便します。
これにより羽田の旅客数が年間700万人増えると見込まれています。
東京オリンピック・パラリンピックへの来日を含め増加する訪日客を迎え、国際競争力を向上させるための首都圏空港機能強化の一環です。
取り組みの詳細については、国土交通省が特設ホームページを開設していますので、ご参照ください。
在日米軍が航空管制を担う横田空域での旅客機通過が認められ、都心上空の新飛行ルートが導入されることになりました。
羽田空港発着の航空機は、騒音等の理由より東京湾上空を飛ぶのが原則でした。
来春より、風向きに合わせ、国際線の発着が特に集中する時間帯に限り、新宿駅や渋谷駅といった東京を代表する繁華街の上空を航空機が飛行します。
新宿区では高度約1000m、渋谷区で約700m、品川区で約300mといった低空を通過するため、国は騒音や落下物について入念な対策を進めていくとしていますが、やはり、通過地点の不動産の環境条件に変化が生じることは否めません。
弊社が所属する東京都不動産鑑定士協会は、本件に関し、研究会を立ち上げました。
議論の推移について注視しております。
不動産の価値は、一般経済社会の影響、地域の特性の影響のもとで、その不動産がもつ個性に応じて形成されていくものです。
私ども不動産鑑定士は、ひとつひとつの価格を形成する要因を把握検討した上で、将来の変化予測を加味して、価格(賃料)を鑑定します。
これまでにはなかった新しい価格形成要因について見落とすことのないよう、弊社では複数の鑑定士の眼によるチェックを大切にしております。
不動産についてのご相談・ご質問につきまして、どうぞお気軽にお電話(03-3626-5160)ください。