2019/08/02
”民泊1年のまとめ”ブログ2回目です。伊藤が担当し、各地の民泊の現況を見てまいります。
まず、住宅宿泊事業法(民泊法)の施行から1年を迎えた2019年6月14日時点の、民泊事業届出住宅数の分布図をご覧ください。
出典:民泊制度ポータルサイト
民泊物件の展開は、地域的な偏りが大きくなっています。
1000件以上が立地しているのは、北海道、東京都、大阪府、沖縄県、です。
いずれも訪日客に人気の観光地を擁し、宿泊ニーズが高い地域です。
民泊には、増加するインバウンドや大規模イベントがもたらす宿泊需要の受け皿となるメリットがあります。
さらに、地域活性化や空き家対策も民泊に期待されている役割です。
しかし人口減少率の高い地方都市での民泊物件の数が多くないことから、こういったメリットについては現在広く実感されてはいないのではないか…と考えております。
民泊法に基づく民泊の広がりの障害となっていると言われるのが、民泊法が営業日数を年間180日に制限している点です。
届出住宅数上位4位の都道府県のうち、東京都の大田区と、大阪府の大阪市は国家戦略特区の指定を受けていて、条件を満たせば営業日数の制限がなくなります。
そのため大田区・大阪市では、届出だけで始められる民泊法に基づく民泊でまずスタートしてみて、事業としてうまくいきそうであれば認定が必要な特区民泊に切り替える、との手法を取る事業者が見られます。
このように、事業性を重視した民泊の場合、宿泊需要があることを前提に、特区民泊あるいは旅館業への切り替え、あるいは物件売却など、その後の選択肢が豊富な地域に、民泊物件が集まっていきます。
ただし宿泊需要や出口の選択肢があっても、民泊法に自治体が上乗せした規制(例えば、京都市の「物件からおおむね10分以内に駆け付けられる場所に管理者を置く」規定)の存在が、民泊実施を困難おり・・・京都や東京は観光資源が豊富なエリアですが、民泊の存在感はさほど高まっていません。
北海道、沖縄、九州については、この1年間、訪日客の増加に比例して民泊も伸びています。
地方都市での民泊は全般としてはまだ低調ですが、一部地域ではその地ならではの魅力を打ち出すことで、成果を挙げている例があるようです。
日本経済新聞の地域版では、長野県にある近隣のワイナリーのワインが楽しめる民泊や、農業体験・田舎暮らし体験ができる民泊、富山県の山あいで囲炉裏のある日本家屋に泊まる民泊、などが紹介されていました。
地域活性化や空き家活用につながるこういった地方都市での民泊には、民泊仲介事業者や政府も注目しています。
私も個人的に、ユニークで豊かな民泊が広がっていくことを心より願っております!
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