【令和8年地価公示】不動産鑑定士(地価公示鑑定評価員)による概説

1745213017987

FRAコンサルティング代表の降矢等です。

本日は、先月発表された「令和8年 地価公示 」(調査基準日:令和8年1月1日)を見てまいります。

令和8年地価公示・全国の地価状況

地価公示は、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が、一般の土地の取引価格の指標とするなどのため、都市計画区域等における標準地を選定して、毎年1月1日時点の1㎡当たりの正常な価格を判定し公示するものです。

公示価格は、全国167の分科会に所属する鑑定評価員(不動産鑑定士)が全国26,000の標準地について選定及び確認を行い、分科会等における議論を経て鑑定評価した価格に基づいて判定しています。

全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇が継続するなど、全体として上昇基調が続いている状況です。

【公表資料】 国土交通省 令和8年地価公示

令和8年地価公示・東京の地価状況

令和8年の東京都の地点数は2,602地点(うち隔年で調査を行う 42 地点について調査を休止。調査実施地点数は 2,560地点)で、用途区分ごとの調査実施地点数は、住宅地1,663地点、商業地849地点、工業地40地点、林地8地点となっています。

東京都全域、および区部、多摩地区、島部の各地区について、用途別の対前年平均変動率を整理したのが以下の表です。

1775715522315

出典: 東京都財務局 令和8年地価公示価格(東京都分)の概要

東京都全域で見た場合、住宅地、商業地及び全用途(住宅地、商業地及び工業地の計)で対前年平均変動率は5年連続でプラス、工業地は13年連続でプラスとなりました。

東京における地価変動の背景

東京の地価動向の背景は、用途/地区別に、以下のように分析されます。

住宅地

区部では、景気が緩やかに回復傾向にあること等を反映し、住宅需要は旺盛であり、都心区及び隣接する利便性や住環境に優れた区を中心に幅広く地価が上昇した。

多摩地区では、再開発事業等により住環境が向上した地域、駅徒歩圏内の接近性が優る利便性の高い地域では、緩やかな上昇で推移している。一方、居住者の減少・高齢化が進んでいる地域、バス便利用の地域や丘陵地等は下落や横ばい傾向にある。

商業地

国内外からの観光客の大幅な増加を受けて出店需要が強まっている都心区や、駅周辺の大規模な再開発事業の進展による影響を受けた区のほか、店舗併用のマンション需要の高まりにより上昇率が高い区が見られた。

一方、多摩地区では、都心部に近いエリアで比較的上昇率が高く、西に行くに従って横ばい傾向となっている。また、駅前再開発等が多い中央線及び京王線の駅前周辺で店舗需要回復、マンション需要との競合で上昇した。

工業地

区部では、物流施設の地点はEコマースの進展から湾岸部を中心に上昇率が高い。また、マンション建設が可能な土地は需要が競合し、上昇傾向にある。

多摩地区では、拡大するEコマース市場を背景とした物流施設適地に対する需要は根強く、高速道路等へのアクセスが良好な大規模画地への需要が堅調であるが、原材料価格の高騰等の懸念により地価の上昇幅は縮小傾向にある。

【公表資料】 東京都財務局 令和8年地価公示価格(東京都分)

下町地域(台東区・墨田区・江東区)住宅地の価格変動の特徴

東京都財務局 令和8年地価公示価格(東京都分)の概要で、区市町村別・用途別の対前年変動率を確認することができますが、私が所属する東京都区部第5分科会の担当区のひとつである台東区が、商業地・住宅地ともに都内の区市町村のなかで対前年変動率が最大となりました。

2025~2026年の1年間で、商業地は19.1%、住宅地は14.2%の上昇です。

同じく第5分科会が担当する墨田区、江東区も、商業地は15%前後、住宅地も12%前後という高い上げ幅を見せました。

いわゆる下町エリア全域において地価上昇は顕著です。

浅草、上野、錦糸町といった国内外の広い範囲からの来街者が増加している商業エリアや、再開発等によって収益性が高まった駅前商業地の価格が上昇していくのは、土地の稼ぐ力(効用)の向上を反映した成り行きであると言えます。

一方で、住宅地価格についての、近年の上昇に次ぐ上昇は、やや問題を孕むところもあるように感じます。

下町の多くは住商混在地域です。住宅地と商業地との区別が明確なエリア(例えば世田谷区や杉並区)と比べると、住宅地の価格形成が商業地の動きに過度に引きずられる現象が起こりやすい構造があります。

その結果、商業集積地から距離があって、効用には特に変化のない住宅地まで商業地並みのペースで価格が上昇、当地で暮らし続けたい意向の一次取得者層の心情からも予算からもついていけない水準に達し、若い世代が都外への転出を余儀なくされる状況が生じています。

不動産鑑定士としては市場に成り代わり評価する立場ですが、一個人としては、市場において、実需者にとっての合理性を逸脱して価格形成がなされ始めるときは、市場の失敗への留意そして対応が必要だと考えます。

このように要因が絡み合い、刻々と変化する不動産市場の最新状況、また、特定地点の最新価格につきましては、弊社までお気軽にお問い合わせください。

【関連記事等】

 弊社代表・降矢等が地価公示功績者として表彰されました

 東京都、(公的)不動産の鑑定評価では19グループに分かれます
 FRA代表鑑定士 降矢等の仕事 ~東京都区部第5分科会(台東・墨田・江東)・鑑定評価員

 令和8年地価公示・降矢担当 標準地番号:墨田 5-4(両国2-10-5)「鑑定評価書」

どうぞお気軽にご相談下さい

お電話、土日祝日もお受けします!

ウェブフォームはこちら

お問い合わせ