
FRAコンサルティング代表の降矢等です。
本日は、先月発表された「令和7年 地価調査 」(調査基準日:令和7年7月1日)を見てまいります。
令和7年地価調査・全国の地価状況
基準地調査は、国土利用計画法施行令第9条の規定に基づいて、知事が毎年7月1日時点の基準地の標準価格(基準地価格)を判定するもので、昭和50年以降、毎年実施されています。
国土交通省が実施する地価公示(毎年1月1日時点の調査)とは、調査時期、調査地点において相互に補完的な関係にあります。
全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いている状況です。
【公表資料】 国土交通省 令和7年都道府県地価調査
令和7年地価調査・東京の地価変動状況
令和7年の東京都の地点数は1,291地点で、用途区分ごとの調査実施地点数は、住宅地774地点、商業地481地点、工業地19地点、宅地見込地6地点、林地11地点となっています。
東京都全域、および区部、多摩地区、島部の各地区について、用途別の対前年平均変動率を整理したのが以下の表です。

東京都全域でみた場合、全用途(住宅地、商業地、工業地及び宅地見込地の計)における対前年平均変動率は、13年連続でプラスとなりました。
用途別では、住宅地の平均変動率は13年連続でプラス、商業地は4年連続でプラスでした。
東京の住宅地および商業地の地価動向詳細
東京の住宅地および商業地について、より詳しく対前年平均変動率の確認をしていきます。
なお、( )は前年の同変動率です。
住宅地
23 区全体は 8.3%(6.7%)で、23 区全てで上昇幅が拡大した。上昇率が大きい順に港区13.7%(9.2%)、目黒区13.7%(9.6%)、台東区13.4%(7.2%)、中央区 13.3%(12.4%)、品川区 12.9%(9.1%)、新宿区 12.7%(8.7%)となった。
総じて住宅需要は堅調であり、とりわけ都心区及びこれに隣接する利便性や住環境に優れた区では、マンション・戸建住宅とも需要が旺盛で、上昇幅が拡大した。
23 区のうち外縁部については、葛飾区 5.0%(4.4%)、江戸川区5.1%(4.8%)、練馬区 5.4%(4.5%)、足立区 6.0%(5.1%)となっており、都心区及びこれに隣接する区に比較すると上昇率は小さいものの、都心区などの地価上昇に伴い需要が波及し、上昇幅が拡大した。
多摩地区全体では 3.5%(3.0%)と上昇幅が拡大した。
上昇率が大きい順に、国立市 8.0%(6.2%)、立川市 6.8%(4.0%)、調布市 6.4%(5.6%)となった。駅徒歩圏内の利便性の高い地域を中心に上昇幅が拡大した。
商業地
23 区全体は 13.2%(9.7%)で、全ての区で上昇幅が拡大した。上昇率が大きい順に台東区18.2%(12.5%)、中央区16.7%(10.0%)、文京区 16.4%(11.7%)、千代田区 16.2%(11.3%)、杉並区 16.1%(10.9%)、中野区 15.5%(11.1%)となった。マンション利用が可能な地域や都心に近いが割安感からオフィス需要が堅調な地域を中心に上昇幅が拡大した。
土産物店や飲食店が建ち並ぶ浅草(台東区)では、インバウンドを含めた観光客の増加により店舗等の需要が増加傾向にあることから、上昇幅が拡大している。
多摩地区全体では 5.4%(4.5%)と上昇幅が拡大した。
上昇率が大きい順に、立川市 10.8%(7.8%)、府中市 8.8%(7.3%)、国分寺市 8.8%(7.3%)となった。JR 中央線及び京王電鉄京王線の駅前周辺では、人流回復を受けた店舗需要の回復、マンション需要との競合により上昇幅が拡大した。
これからの地価見通し
旺盛な需要を背景に、地価の上昇は広がりをもって継続していくと見込まれます。浅草を有する台東区では、驚くほどの早さと価格で取引が成立しています。
ここにきて、金融市場の動向やグローバル要因が不動産市場へ及ぼす影響の度合いが、強まっているように感じております。
刻々と変化する不動産市場の現況、また、特定地点の最新価格につきましては、弊社までお気軽にお問い合わせください。
業界歴30年以上、地価調査担当歴20年以上の経験、知見に基づき、お答えいたします。
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