2025/04/21

FRAコンサルティング代表の降矢等です。
本日は、先月発表された「令和7年 地価公示 」(調査基準日:令和7年1月1日)を見てまいります。
令和7年地価公示・全国の地価状況
地価公示は、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が、一般の土地の取引価格の指標とするなどのため、都市計画区域等における標準地を選定して、毎年1月1日時点の1㎡当たりの正常な価格を判定し公示するものです。
公示価格は、全国167の分科会に所属する2,232人の鑑定評価員(不動産鑑定士)が全国26,000地点について選定及び確認を行い、分科会等における議論を経て鑑定評価した価格に基づいて判定しています。
全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いている状況です。
【公表資料】 国土交通省 令和7年地価公示
令和7年地価公示・東京の地価状況
令和7年の東京都の地点数は2,602地点で、用途区分ごとの調査実施地点数は、住宅地1,661地点、商業地851地点、工業地40地点、林地8地点となっています。
東京都全域、および区部、多摩地区、島部の各地区について、用途別の対前年平均変動率を整理したのが以下の表です。

出典: 東京都財務局 令和7年地価公示価格(東京都分)の概要
東京都全域で見た場合、住宅地、商業地及び全用途(住宅地、商業地及び工業地の計)で対前年平均変動率は4年連続でプラス、工業地は12年連続でプラスとなりました。
東京における地価変動の背景
東京の地価動向の背景は、用途/地区別に、以下のように分析されます。
住宅地
区部では、テレワークの定着等によるより広い住宅を求めるニーズや富裕層を中心にした旺盛な需要により、都心区及び隣接する利便性や住環境に優れた区を中心に幅広く地価が上昇した。
多摩地区では、再開発事業及び区画整理事業等により住環境が向上した地域、駅徒歩圏内の接近性が優る利便性の高い地域では、緩やかな上昇で推移している。一方、居住者の減少・高齢化が進んでいる地域、バス便利用の地域や丘陵地等は下落や横ばい傾向にある。
商業地
訪日外国人観光客の大幅な増加を受けて出店需要が強まっている都心区や、駅周辺の大規模な再開発事業の進展による影響を受けた区のほか、店舗併用のマンション需要の高まりにより上昇率が高い区が見られた。
一方、多摩地区では、都心部に近いエリアで比較的上昇率が高く、西に行くに従って横ばい傾向となっている。また、駅前再開発等が多い中央線及び京王線の駅前周辺で店舗需要回復、マンション需要との競合で上昇した。
工業地
区部では、物流施設の地点はEコマースの進展から湾岸部を中心に上昇率が高い。また、マンション建設が可能な土地は需要が競合し、上昇傾向にある。
多摩地区では、大規模工業地は物流施設等の用地としての需要が見られるが、小規模工業地は地元の中小事業者に需要が限定され、地価の上昇が限定的である。
【公表資料】 東京都財務局 令和7年地価公示価格(東京都分)
これからの地価見通し
東京ではインバウンドや海外資金の流入、また、大規模再開発に牽引される形で、不動産価格の上昇が続いています。
トランプ政権の誕生による世界情勢の変化が、不動産市場に及ぼす影響に注意が必要です。
刻々と変化する不動産市場の現況、また、特定地点の最新価格につきましては、弊社までお気軽にお問い合わせください。
業界歴30年以上、地価公示担当歴20年以上の経験、知見に基づき、お答えいたします。
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