2026/06/11
FRAコンサルティング代表の降矢等です。
関東地方も梅雨入りとなりました。
この時期になると、私は毎年ある曲を思い出します。
レッド・ツェッペリンの『The Rain Song』です。
静かに降る雨を思わせる美しいギターの響きから始まり、徐々に壮大な世界へと展開していく名曲です。
陰影を帯びたメロディーは、窓ガラスを伝う雨粒とよく似合い、梅雨も悪くない、と思わせてくれます。

不動産鑑定士の仕事は、意外と天気に左右されます。
現地調査では、建物の状態のほか、周辺環境、日照や風の抜け方などを、実際にその場に立って五感で確かめることが欠かせませんが、悪天候のなかでの確認にはいろいろと工夫が必要になってきます。
そのため、できるだけ、情報が集めやすい好天の、日のある時間帯を選んで現地に入るように予定調整をします。
そして、外での調査が終わると、そこからが評価の本番です。
不動産鑑定評価は、単純な計算業務ではありません。
市場動向、地域特性、法的要因、経済的要因、個別的要因について、収集した多様な情報を整理・統合し、その過程を言語化した上で最終的に評定額を決定するという一連の思考活動であり、深く集中する必要があります。

私にとって、この集中を促進してくれるのが「音楽」です。
積極的に聴くというのではなく、環境音に近い活用で、若い頃から聴き続けている馴染みの楽曲を流します。
長年親しんできた音楽は、思考の邪魔になりません。
複雑に絡み合った要素を整理するときや、難題に向き合うとき、むしろ心を落ち着かせ、冷静な判断を促してくれるように感じています。
特に好んで聴くのは、1970年代の英国プログレッシブ・ロック(プログレ)です。
代表的なところでは、ピンク・フロイドやキャメルなどでしょうか。
プログレは、一般に「高度で挑戦的な音楽」と評されます。
長い楽曲の中で複雑な展開を見せたり、クラシックやジャズの要素を取り入れたり、独自の世界観の追求があります。
「自分たちにしかできない表現」を追い求める音楽とも言えるかもしれません。
不動産鑑定評価の仕事とは一見関係がないようですが、私はどこか共通するものを感じます。
もちろん、不動産鑑定評価書は芸術作品ではなく、客観性と合理性が求められる専門的成果物です。
ただ、不動産は一つとして同じものがありません。
立地をはじめとする条件が違い、市場参加者の見方も違う。
だからこそ、ご依頼いただく全ての評価案件は、毎回新しい挑戦です。
与えられた条件の中で、素材を集め、考え抜いて矛盾のない形にまとめ上げるという意味で、アーティストたちの作品づくりとも似ているように思うのです。
プログレのアルバムが、作り手の知恵と工夫と情熱の結晶であるように、担当する不動産鑑定評価書を、依頼者のご期待に応える私なりの「ベストテイク」としていきたい。
その思いを胸に、これからも不断の研鑽を重ね、一件一件の不動産評価に真摯に取り組んでまいります。
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