不動産鑑定士・降矢等です。
 
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本日は、都市農地の宅地転用が地価の下落をもたらす「2022年問題」を発生させるとの懸念がある 生産緑地制度 について詳しく見てまいります。

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「生産緑地制度」は、 良好な都市環境を形成することを目的として、都市計画に生産緑地地区を定め、市街化区域内の農地等を計画的に保全する制度です。

国土交通省 都市局 公園緑地・景観課HPの概要説明をご覧ください。
 
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この生産緑地地区の指定を受けると、土地所有者は2つのメリットが得られます。

1.宅地並み課税が農地課税となり、毎年賦課される固定資産税・都市計画税が大幅に軽減される

2.相続時納税猶予を受けることができ、農地の相続人が終身営農したならば、猶予された相続税免除を受けられる

 
上記の生産緑地制度がかたち作られたのが1992年で、三大都市圏に現存する生産緑地の8割ほどがこの年に指定を受けています。

三大都市圏特定市※の生産緑地の面積は、1.2万ヘクタール(R2.12.31 国土交通省調査)です。

※首都圏、近畿圏および中部圏の特定市(東京都の特別区を含む)

 

1992年指定の生産緑地が30年後の2022年に一斉に宅地転用されて土地需給や地域の住環境を悪化させることのないよう、できるだけ生産緑地を保全する方向で、国は対策を進めています。
 
まず、2017年に生産緑地法の改正がありました。
 
改正のポイントは次の3点です。

1.生産緑地の面積要件引き下げ・・・一律で500㎡以上であったところが市区町村の条例により300㎡以上とすることが可能

2.生産緑地での建築制限の緩和・・・農業に直接関係する施設に限定されていたものが、”農産物等の加工場、直売所、農家レストラン等も可能に

3.「特定生産緑地制度」の創設
・・・指定後30年経過による市町村長への買取り申し出時期が近づいた農地について、良好な都市環境の形成にとくに有効と認められるものを市区町村が「特定生産緑地」として指定。「特定生産緑地」は買取り申出が可能な時期を10年間先送りでき、その10年経過後は必要に応じて10年単位で延長される

 

次に、2018年には、「都市農地貸借法」(正式名:都市農地の貸借の円滑化に関する法律) が施行されました。

都市農地貸借法による生産緑地の賃貸借には、

農地法による契約の法定更新(更新しないことについて知事の許可がない限り土地賃貸借契約が自動的に更新される)が適用されなくなって地主の賃貸借についての不安が軽減される

・生産緑地に適用される相続税納税猶予制度を継続したまま農地の賃貸借ができる

など、生産緑地の貸借を後押しする仕組みが盛り込まれました。
 
 

2021年5月21日の日本経済新聞の記事によれば、

大都市圏の「生産緑地」に対する税優遇措置を10年延長する国の特別制度について、首都圏1都3県で多くの生産緑地を抱える自治体では、2022年に優遇措置の期限が切れる面積の8割近くの所有者が延長を申請していることが分かった。自治体は環境維持や防災のため生産緑地の維持を目指しており、延長申請を後押ししている。

とありました。

 
全国の生産緑地のうち57%を占める首都圏1都3県で、各都県の中で面積が多い5自治体、計20自治体に2021年4月末時点の特定生産緑地指定への同意・申請状況を照会。

2022年に指定が切れる生産緑地のうち、同意・申請があったのは面積ベースで78%の結果だったとの由。
 

生産緑地が多い住宅地域の地価動向について、注意を払ってまいります。
 

なお、東京都内の生産緑地地区一覧(令和2年4月1日現在)が、東京都都市整備局HP( PDFファイル251KB)で公開されています。

それぞれの生産緑地地区の具体的な所在については、市区町村にお問合せください。
 

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