FRAコンサルティング代表・不動産鑑定士の降矢等です。

相続税路線価についていただいた標記のご質問 「なぜ、発表が7月1日(と遅くなるの)か?」 についてお答えします。

 
18-753608_s毎年1月1日時点の価格が公表されてニュースになる公的土地評価価格には、地価公示価格と相続税路線価があります。

地価公示価格は3月下旬ごろに発表されるのに対し、相続税路線価は例年7月1日(休日の場合は2日)です。

なぜ、こんなにタイミングが違うのだろう? と疑問に思われたとのことでした。
 
 

大枠よりお話しますと、路線価(国税庁所管)は、不動産鑑定士等に依頼して把握する標準地の鑑定評価額などとともに地価公示(国土交通省所管)も基準として、国税局長が定めます。

ゆえに、必然的に、路線価の発表は3月下旬の地価公示価格の発表後、しばらく時間を要する、ということになります。

 
具体的な業務フローの実情からもご説明します。

まず、国税庁の組織形態をご確認ください。
 
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(出典:国税庁ホームページ

 

価格時点(1月1日)の前年秋に不動産鑑定士等が各国税局の土地評価鑑定評価員に委嘱されると、各地の税務署資産課税部門・評価専門官部門より標準地(相続税路線価敷設のために価格評価が必要として定められた地点)の評価用資料が届きます。

鑑定評価員は現地点検や役所調査を実施し、年が明けてのち、1月1日時点の時価について鑑定評価書を税務署に提出します。
 
1月1日を評価時点とする路線価はその年の12月31日まで適用されることとなります。

そのため、評価専門官部門は1年間の地価変動などを考慮して、1月1日時価の80%程度を目途とし、道のひとつひとつに路線価の敷設を進めていきます。
 
これは大変な作業であると、イメージしていただけるのではないでしょうか。
 
 
このような流れを経て、国税庁が取りまとめた全国の路線価を最終的に発表するのは7月1日、となっている次第です。
 
地価公示等その他の公的評価についてのご不明点なども、お問い合わせフォームまたはお電話(03-3626-5160)で弊社不動産鑑定士にお気軽にご質問ください。