FRAコンサルティング代表鑑定士の降矢等です。
 
7月も半ばとなりました。

5月25日に全国の緊急事態宣言が解除に至り、消費者心理に明るさが見られつつありましたが、6月後半より徐々に東京、そして各地の新型コロナウイルス感染者数が増加するにともない、心理状態の改善にブレーキがかかっています。

感染者数増加とともに、不動産市況についての(ややセンセーショナルかつ悲観に傾きがちな)報道も心理を悪化させる要因となっているのではないでしょうか。

 
本日は不動産市場の現況認識について、都内で仕事をなさっている不動産鑑定士、不動産会社、不動産行政の方々との現場での対話を通して得てまいりました私見を、少しお伝えさせていただきます。

 

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コロナ禍による不動産用途ごとの影響について、現時点で、宿泊施設や商業施設には明確な悪影響が及んでいるものの、住宅や物流施設へのプラスマイナスは中立的です。
 
さまざまな意見・見方があって集約しきれない状態にあるのがオフィスです。
 
 
 
上記をシンプルにまとめてみます。
 

≪コロナウイルス感染拡大後の不動産用途別の状況≫

× 宿泊施設
× 商業施設(スーパー、ドラッグストア等の一部業態を除く)
〇 住宅
〇 物流施設
△ オフィス

 

「リモートワークが浸透しオフィスの解約が急増中」といった報道が散見されますが、こういった解約申し入れは新興企業やIT企業等の一部企業の動きであり、東京都心部の大型ビルおよびそこに入居する大企業の多くが同様の動きを見せているとの状態にはありません。
 
もちろん大企業も緊急事態宣言下でリモートワークを実施し、今、新しい働き方を模索しています。
その答えが出るのはこれからというところです。
 
リモートの良さを語る声とともに、人と人とが対面するからこそ深い仕事ができ、新たなアイディアの創出につながることをリモートワークを通して実感した、という声が新興企業からも上がっています。

 
オフィス仲介大手の三鬼商事が公表した東京ビジネス地区の6月時点の平均空室率は、1.97%(前月比+0.33%)でした。

平均空室率は3月に1.50%(前月比+0.01%)と9か月振りに上昇したあと上昇傾向が続いていますが、需給均衡の空室率とされている5%には余地を残しています。

また同社によれば6月時点で平均賃料は78ヶ月連続の上昇傾向を維持しています。

コロナ禍の中で、ケースバイケースの色濃いのがオフィス市場の様相です。

影響を受けた物件もあれば、影響のない物件もあり、それぞれに状況が異なっていて、状況は日々変化している最中にあります。
 

大きな潮流が捉えづらい状態であるときは、過度の悲観にも過度の楽観にもよらず、不動産の需要者および供給者の動向、一般社会経済情勢の状況をつぶさに見た上で、ある時点でのある特定の不動産価値を見極めることが肝要かと存じます。
 

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