不動産鑑定士・降矢等です。

前回のブログまで、不動産に関係する今年の法改正を振り返ってまいりました。

 

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2018年の不動産にまつわる事件について考えてみますと、シェアハウス融資事件と、地面師詐欺事件が二大事件と言えるでしょうか。

前者の事件については、不動産評価の手法である「収益還元法」を不適切な形で用いたことが不正行為として金融庁に認定されました。

 

 

不動産鑑定評価の3手法(原価法、取引事例比較法、収益還元法)の中でも、収益還元法はとても重要な手法で、弊社ではほとんどの評価でこの手法を適用しています。

他の手法に比べて、評価の過程に担当者判断による項目が多く(この点がシェアハウス融資事件では利用されてしまいました)、だからこそ一番神経を使う手法です。

判断すべき項目について、私どもでは、調査・精査を重ねた上で決定しています。

 

この収益還元法は、鑑定評価書をお受け取りになったお客さまから、3つの手法の中で最も多くのご質問をいただく手法でもあります。
 
 

収益還元法(直接還元法とDCF法とがありますが、ここでは直接還元法についてお話します)は、その名のとおり、

“不動産価格” を “収益” と “還元利回り” から求める方法 です。

 

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“収益”の言葉が意味するところについては皆さまあまりお悩みになることはないと思います。

“還元利回り” は、いかがでしょう?

多くのお客さまから「”還元利回り”って・・・何ですか」とお声があがります。
 
 

 
キャップレートとも呼ばれている”還元利回り” は、

「①一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率
②将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測にともなう不確実性を含む」

というのが、不動産鑑定評価基準にある説明です。

・・・なかなかスッキリとはならない説明かと思います。

 

①より、(収益還元法による)不動産価格を左右する率
②より、将来予想やその予想が外れるかもしれない不確実性を織り込む率

よって、銀行預金の金利とは根本的に違う性質を持つものである、というイメージでお考えください。
 
 
上記イメージを出発点に、よくわかる!還元利回り「還元利回りの高い・低いと不動産の優良・不良との関係」「還元利回りの求め方」とこれからブログを続け、ご説明いたします。
 
次回を待たずこの先を今すぐ知りたい!という方は、どうぞお気軽にお電話(03-3626-5160)でお申し出ください。

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