降矢等です。

今年の法改正振り返り、の2回目です。

 

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2018年4月、市街地について大まかな土地利用の方向性を示す「用途地域」に追加がありました。

田園住居地域」(・・・農業の利便の増進を図りつつこれと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域) です。

 

 

これまで12種類だった用途地域は、これから以下の13種類となります。

住居系:第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、  第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域

商業系:近隣商業地域、商業地域

工業系:準工業地域、工業地域、工業専用地域

 

田園住居地域の創設の背景には、国の政策転換があります。

 

市街化区域内の農地は、社会経済の発展にともなう宅地需要を背景に、長らく「いずれ宅地化すべきもの」として位置付けられてきました。
 
しかし、今や人口減少の時代となり宅地需要は沈静化、農地を宅地に転用する必要性は低下しています。
 

加えて、社会に以下のような変化がみられます。

○食の安全への意識の高まり→地元産の「顔の見える」新鮮な農産物への評価、自ら作物を作りたいというニーズの高まり

○学校教育や農業体験を通じた、農業に対する理解と地域コミュニティ意識の高まり

○農業へ関心を持つリタイア層の増加

○東日本大震災を契機とした防災意識の向上による避難場所等としての農地の役割への期待の高まり

○都市環境の改善や緑のやすらぎ、景観形成に果たす農地の役割への期待の高まり

 
この状況をふまえ、国ははじめて農地を用途地域に位置付け、望ましい市街地像のひとつとして”住宅と農地とが共存するエリア”を新たに示したのです。

 

田園住居地域の創設に至る経緯は、国土交通省の以下資料に詳しく記されています。

『都市緑地法等の一部を改正する法律の施行について』

 

都市農地をテーマとする過去のブログ記事があります。よろしければお読みください。

【関連記事】

 導入30年が近づく生産緑地制度と都市農地

生産緑地面積は23区内2番目・世田谷の都市農地のリアル

 
なお、弊社の地元である墨田区では田園住居地域の指定はありません。
墨田区の用途地域指定の状況はこちら↓のブログでご確認ください。

【関連記事】

墨田区の用途地域は5種類 ~準工業地域、商業地域、近隣商業地域、第一種住居地域、工業地域

 

用途地域全般に関して、詳しいご説明をご希望の場合は、どうぞお気軽に弊社にお電話(03-3626-5160)を!