複数の試算価格(鑑定評価手法を適用して求められた価格)を求め、それらを調整することで鑑定評価額を決定します。

 

 
【 積算価格と収益価格の開差 】

 
現地・役所調査を終えて、主担当の鑑定士は評価書の作成を着実に進めていきました。

 

そして、評価前打合せから1週間経って、私たちは再びミーティングテーブルを囲んでいました。

 

 
「やはり、事例がなく、取引事例比較法は適用を断念せざるをえませんでした。そして原価法による積算価格と収益還元法による収益価格の間には、大きな開差が出てしまって…」

 

評価書を鑑定評価額決定の直前まで書き上げ、担当鑑定士は悩ましい表情です。

 

 

なるほど。収益価格は、積算価格の半分少し、かなり低い金額で出ています。

 
それぞれの手法の評価過程が正確であるかを確認して、私は言いました。

 
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「高級住宅のみならず一般住宅も含めて、戸建住宅を賃貸物件とした場合の収益価格が土地・建物それぞれの現在価値を積み上げた積算価格に対して相当低位の額となることはよくあります。期待される収益性が低いものだから、そうなって不思議はない。

 

 

高級住宅の市場参加者の実態を考えてみましょうか。この不動産の需要者として、収益獲得を目的とする投資家は考えづらく、自己居住用としての住宅取得を目的とする実需者たるエンドユーザー、もしくは転売を目的とする不動産業者。

 

 

そうだとすると、市場価格は、対象不動産の収益性を反映する収益価格ではなく、居住の快適性やステイタス性を反映した積算価格が軸となっていきます。

 

 

この分析をふまえ、鑑定評価額は、収益価格は積算価格の検証的位置付けとして捉えて、積算価格を標準に決定しましょう」

 

 
鑑定評価額は、14億8,000万円となりました。

 

 

 

<次回に続く>

 

 

 

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