立退料
不動産鑑定士・伊藤です。
オーナーから立退きを請求され、立退料について争うことになった、D社のストーリーの続きです。
【 営業補償(営業休止補償・得意先喪失補償) 】
~営業補償の「営業休止補償」と「得意先喪失補償」について教えて下さい~
「営業休止補償」と「得意先喪失補償」のいずれも、営業を一時休止することにより、または店舗等の場所を移転することにより、生じる損失の補償です。
「営業休止補償」として、収益減の補償、固定的経費の補償、従業員の休業補償について算定します。
「得意先喪失補償」は、営業再開後の一定の期間に一時的に得意先を喪失し、従前の売上高を得ることができなくなると予想される場合に、低下した売上高が従前と同じ売上高になるまでの間の売上減少相当分に係る限界利益(固定費+利益)に着目して補償するものです。
これから、それぞれを詳しく説明させて頂きます。
<次回に続く>
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伊藤由美子です。
オーナーから立退きを請求され、立退料について争うことになった、D社のストーリーの続きです。
【 移転費用の補償 】
~移転費用の補償とは、何ですか?~
立退きに伴ってD社様が支出を要する、移転先取得費用、移転に伴う賃料差額、引越関連費用の合計額を移転費用補償として計上しています。
移転先取得費用は、今のビルと立地条件や規模、建物グレードが同等の不動産の標準的な賃料、保証金・礼金を調査し、これに不動産業者仲介手数料を加えて査定しました。
移転に伴う賃料差額は、今のビルでの賃料が、立退き後に新たに賃借する建物の標準家賃より低額ですので、今の賃料と移転先の賃料との間に生じる賃料の差額に補償年数を乗じ、求めます。
今回、家賃差は2倍以内であるため、「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則 別表第5の家賃差補償年数表」より補償年数を2年と判定し、求めました。
引越関連費用では、オフィス家具、OA機器、事務用品、書類等を主体とする動産の移転費、新事務所の内装工事費及び電気・電話・LAN工事費、器具・備品の廃棄・買替費などが必要となります。都内を営業地域とする専門業者見積りに基づいて算出しました。
<次回に続く>
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鑑定士・伊藤です。
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【 営業休止・移転等の補償 】
~営業上の損失はどのように考えていくのでしょうか?~
営業上の損失についての補償額算定は、
●公共用地の取得に伴う損失補償基準
の考え方を援用します。
この基準では、営業上の損失補償に関し、
(1)営業休止(移転)等の補償、(2)営業廃止の補償、(3)営業規模縮小の補償
の3つの補償対象及び補償基準が規定されています。
D社様のケースでは、(3)については、現実的にあり得ないですが、(1)と(2)のいずれの補償方針を採用すべきかについては、
・立退き請求を受けた借家人が新たな移転先で通常営業を継続することができるかどうか
・それとも移転を余儀なくされることにより、もはや「通常営業の継続が不能となる」と認められるかどうか
という点に着目して判断し、より現実的な補償額の算定を目指します。
損失補償基準では「通常営業の継続が不能となる」とは、従来の営業場所から移転することにより事業自体営むことができなくなる場合と、営業はできるがそれを継続していくことが著しく困難になる場合の両者を意味しています。
D社様の人材採用コンサルティングを中心とした事業の場合、他へ移転することでこの「通常営業の継続が不能となる」に当たるとは考えにくいです。
そこで、(1)営業休止(移転)等の補償の視点からアプローチして、実態に即した補償額を算定しました。
営業休止(移転)を前提とした営業補償項目は大別すると、このようになります。
■ 移転費用の補償
■ 営業補償
(営業休止補償)
(得意先喪失補償)
■ 雑費の補償
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FRAの伊藤由美子です。
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【 借家権価格 】
~借家権の価格の算定は、以下のように行ったそうです~
「借家権」とは、借地借家法及び旧借家法が適用される建物の賃借権をいいます。
例えば「借地権」など売買の対象となる他の不動産の権利で、取引市場で価格がつく場合には、市場性や収益性からアプローチして価格を求めますが、「借家権」は通常、売買の対象とはならず、取引市場はありません。ですから、価格を形成する要因は他の不動産の権利の場合とは異なってきます。
「借家権」の価値は、賃貸人から一方的な建物の明渡し請求を受け、借家人が不本意な立退きを余儀なくされて事実上喪失する建物占有権をはじめ、借地借家法をはじめとする法令等によって保護されている借家人の社会的、経済的あるいは法的利益で形成されていて、賃貸人が補償するべき借家人の喪失利益として認められます。
したがって、今回の借家権の評価においては、補償原理の観点に立って喪失する借家権の適正な経済価値を把握するため、客観性を備えていて最も一般的に用いられている
●権利割合法
という手法を適用して行いました。
なお、賃借人が事業を営むために正当に占有してきた不動産を、賃貸人からの一方的で正当事由を欠いた立退き要請を受けたことにより退去する場合、このために生ずる営業上の損失等については、借家権の喪失補償とは別に「営業損失」等として扱います。
賃貸人はこれも併せて補償することになりますが、D社様のケースの「営業損失」等については、これから説明します。
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引き続き、不動産鑑定士・伊藤由美子です。
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【 立退料の構成要素 】
~不動産鑑定士は、まず、私たちのケースでの立退料の構成要素について話しました~
D社様は、過去20年間に亘り、こちらのビルの5階・6階を、事業を営み継続的な使用収益を得る目的で、不動産賃借権に基づいて現在まで占有してきました。
しかし、この度、特段の正当事由が認められない賃貸人より、一方的で、D社様にとって不本意な建物立退き請求を受け、提訴されるに至りました。
D社様は、立退きが現実となった場合に被るであろうと予測される不利益を総計し、賃貸人に対して「補償」という形で金員を要求するべき立場です。
そこで、評価のご依頼を受け、私どもは客観的な視点から適正な「立退き請求に相応する補償額」を算定いたしました。
D社様の事案で算定する「立退き請求に相応する補償額」の積算構成は、次のとおりとなります。
【A】 借家権価格
【B】 営業休止・移転に伴う立退料
① 移転費用の補償
② 営業補償(= a.休止補償 + b.得意先喪失補償 )
③ 雑費の補償
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不動産鑑定士・伊藤由美子です。
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【 「調査報告書 -立退き請求に相応する補償額算定- 目次 」 】
現地調査の日から3週間後、「調査報告書」が完成し、鑑定士からの内容説明の日を迎えました。
分厚い「調査報告書」は以下の目次から始まっていました。いよいよ説明開始です。
◆ はじめに ◆
■Ⅰ.調査評定額■
■Ⅱ.調査対象不動産の表示■
■Ⅲ.調査評定の基本的事項■
1.不動産の権利の種類及び種別・類型
2.対象不動産の確定
3.価格時点
4.調査評定の依頼目的
5.価格・賃料の種類
6.調査評定を行った日付
7.利害関係と縁故関係の有無とその内容
■Ⅳ.調査対象不動産の確認■
1.物的確認
2.権利の態様の確認
■Ⅴ.調査評定額決定の理由の要旨■
1.価格形成要因の分析
2.近隣地域の状況
3.調査対象不動産の状況
4.一棟の建物とその敷地及び環境との関係
5.一棟の建物及びその敷地の最有効使用
6.調査対象の建物賃貸借契約の概要
7.借家権の喪失及び賃借人の企業経営状況等に基づく適正な補償額算定の手順
■Ⅵ.借家権の評価■
□ 権利割合法による借家権価格
1.原価法による土地・建物の基礎価格
2.権利割合法による調査対象不動産の借家権価格
■Ⅶ.立退き請求に関する営業補償■
1.営業補償を行う場合の補償方針
2.営業休止(移転)を前提とした補償費の算定
■Ⅷ.調査評定額の決定■
■Ⅸ.付記事項■
◇添付資料一覧◇
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【 ヒアリング 】
調査のあと、会議室で、私は鑑定士からの質問に答えました。
会社概要、過去3年間の損益計算書など、あらかじめ言われていた資料を用意しておきました。
それらの内容の確認に加えて、電気・ガス・水道・電話・LAN等の基本料金や、従業員の数とその雇用形態、人件費の雇用形態別内訳、顧客の数や取引の状況など、細かな経営状態のヒアリングがありました。
その後、鑑定士は、社長にこれまでの事業の推移や今後の方向性に関するヒアリングも行っていました。
私は、立退料というのは、土地や建物のみ見て決まるものと思っていましたが、イメージが変わりました。
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【 現地調査 】
先日の打合せで、「不動産調査報告書」という書面で立退料を算定してもらうことが決まりました。
打合せの4日後、現地調査に、不動産鑑定士が再び会社を訪れました。
案内役は私です。
鑑定士は、建物各所の状態から、オフィス家具・OA機器の数や設置時期まで、確認し、写真に収めていきました。
外部も、様々な角度から見て回り、ビルの間口の幅や、道路の幅も、資料と照合を行っていました。
面白いと思ったのは、縁石のカウントです。
このビルの前の縁石は、1つの幅が60センチなので縁石の数を数えれば、間口を確認することができるのだそうです。
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【 弁護士と不動産鑑定士 】
今日は私が参加する初めての打合せです。
社長、部長、私の待つ会議室に、顧問弁護士が入ってきました。
訴訟の代理人となる顧問弁護士は、まず、今後の予想される裁判所とのやり取りを説明しました。
そして、こちらの主張の根拠資料として、不動産鑑定士による立退料の評価書面を中心に据えると言いました。
担当する不動産鑑定士は、今、こちらに向かっているそうです。
不動産鑑定士という職業があるのですか、と、私が口にすると、弁護士は、
立退きだけでなく、家賃や地代の案件、過去の不動産取引についての争い、M&Aの折など、よく鑑定を依頼しますよ、と教えてくれました。
しばらくして、不動産鑑定士が到着し、部長から私は今回の訴訟の窓口であると紹介されました。
鑑定士が加わって、打合せはさらに続きました。
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不動産鑑定士・伊藤由美子です。
今回のブログシリーズでは、不動産鑑定士が行う立退料評価について、D社のストーリーを用いてお届けいたします。
(このストーリーは、弊社が扱わせて頂いた実例を、個人情報に配慮し改変しております。)
初めまして。D社に勤務し、5年になる山本と申します。
D社は、人材採用コンサルティングの会社で、社員のうち30名ほどがコンサルタントです。
私自身は新卒での入社以来、ずっと総務部に勤務しています。
後輩も入り、総務の仕事に自信が持てるようになってきた折、部長から思いがけない話がありました。
会社が、入居しているビルを所有する不動産会社に退去を要求され、訴えられているというのです。
寝耳に水で驚きました。
部長は、実は社長と共に過去数ヶ月の間不動産会社と交渉を続けていたそうです。
しかし話はこじれ、ついに訴訟に至ったとのことでした。
東京東部のD社のあるこのエリアは、交通アクセスの良さや歴史的・文化的魅力が最近の若い世代を捉え、注目を浴びるようになってきています。
この流れに乗り、建物はまだ十分使用できる状態であるものの、不動産会社は建替えによって収益性を高めたい意向です。
しかし、我が社は20年前の創業時からこの場所で営業を続けていて、事務所移転は会社としてこれまで考えたことがなく、私たちにとって移転は大きな負担です。
地下鉄駅にほぼ直結した現在の事務所立地は、社員にとってもお客様にとっても便利で、代えがたいものがあります。
平行線を辿るばかりの交渉で、不動産会社との関係は悪化し、社長は退去自体はもはややむを得ないとの考えです。
不動産会社が提示している立退料は1,200万円。
これは、こちらの移転による不利益からすれば到底受け入れ難い金額で、立退料について争うことになるとのことです。
私は、部長の下で今回の訴訟の実務を担当することになりました。
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